賃上げの動きが拡大/国民春闘共闘が中間総括を確認

2018年7月4日 調査部

[労使]

全労連や中立労組などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:小田川義和・全労連議長)は6月28日、都内で第2回単産・地方代表者会議を開き、2018年春闘の中間総括を確認した。5月25日時点の登録組合の賃上げ集計は単純平均で前年同期比190円増の5,479円(回答を引き出した467組合)、全体の賃上げ集計も単純平均で同386円プラスの5,075円(回答額提示のあった883組合)となった。小田川代表幹事はあいさつで「賃上げの動きが拡大産業・規模・地域を越えて広がっている」などと評価した。

賃上げは加重平均で6,139円(2.07%)

国民春闘共闘が5月25日時点でまとめた「第7回賃上げ集計」では、登録818組合の57.1%となる467組合が回答を引き出し、前年同期の491組合(59.7%)を若干下回った。このうち金額・率回答を引き出した328組合の単純平均(一組合あたりの平均)は5,479円、1.94%で、金額では前年同期比で190円プラスとなったが、率では0.05ポイント下回った。一方、組合員一人あたりの加重平均では6,139円、2.07%となり、前年実績を324円、0.03ポイント上回った。回答を引き出した組合のうち、上積み回答を引き出したのは86組合。他方、「定昇確保」などの言葉による回答を得た組合は前年同期より12組合多い139組合になっている。

なお、非正規労働者の状況については、時間額での引き上げ額の報告があった145件の単純平均額が22.8円となり、前年実績額(19.7円)より3.1円増えた。率でも、40件の平均で2.14%と、前年実績の0.98%を大きく上回っている。

全体の4分の1が「定昇+ベア」を獲得

一方、国民春闘共闘が加盟全単組を対象に調べた「第5回進ちょく状況調査」によると、春闘共闘に加盟する2,856組合からの6月1日時点の報告では、要求を提出した1,948組合の71.4%にあたる1,391組合で回答を引き出している。回答額の提示のあった883組合の単純平均は5,075円で前年比386円増。賃上げ率は、率で計算できる489組合で2.18%と、率では前年を0.19ポイント上回っている。さらに、全体の回答内容を定昇制度のある773組合で見ると、その約4分の1にあたる188組合が「定昇+ベア」を獲得する半面、残り約4分の3にあたる584組合が「定昇確保・ベアゼロ」となっており、全体としてベア獲得が進んでいない様子がうかがえる。他方、定昇制度のない222組合では、有額回答が213組合を占め、ゼロ回答は9組合のみだった。

要求提出の前年超えが統一闘争への結集の端緒に

あいさつした小田川代表幹事は、こうした回答状況について「(登録組合の集計では)金額回答が減っていて、定昇確保などの言葉による回答が増えている。数字の上積み回答は回答引き出し組合の18.4%で、8割は一発回答になっていることを率直に見なければならない」などと指摘。その一方で全体集計の内容にも触れ、「代表銘柄である登録組合と全体集計の違いはあるが、賃上げの動きが産業・規模・地域を越えて広がっていることは言える。要求提出状況も改善方向に向いている」などと評価した。

また、中間総括でも、「要求提出が前年同期を超えて引き上がったことは、統一闘争への結集の端緒となっている」と強調。「定昇なしなどで有額回答が増え、ゼロ回答が少なくなったのは、春闘の厳しさのなかにあっても押し返した努力がなされたもの」と評価した。その一方で、回答引き出しが昨年並みにとどまっていることについて、「賃上げ抑制の企業の姿勢に加え、要求へのこだわりや組合員の参加など職場でのたたかいの強化に課題を残した」などと指摘している。