JR東日本、東海、西日本でベア前年を上回る/JR各社の賃上げ回答

2018年3月30日 調査部

[労使]

JR各社では、14日の西日本に始まり、15日に東海、16日に東日本と、本州3社で前年を上回るベースアップ回答が示された。16日にはJR九州でもベア回答が出ている。さらに同日、JR北海道、JR貨物でも回答が出され、北海道は前年同様ベアゼロだったが、貨物は19年ぶりのベア回答が示された。決着が遅れたJR四国では、23日、ベアが見送られたものの、夏季手当の回答が前年を上回った。

本州3社のベアは1,200~1,300円台の水準

今季の交渉を前に、JR連合とJR総連はともに、「統一ベア要求」として6,000円の要求水準を掲げていた。14日に先頭を切って回答を引き出したJR西日本では、ベア額が1,200円と、前年の750円を450円上回った。さらに、年間の一時金5.66カ月(前年より0.22カ月増)、契約社員の時間給10円引き上げ、運転や技術などプロフェッショナル採用(大卒)の初任給引き上げ措置などの改善措置が示された。

続く15日、JR東海では前年を300円上回るベア1,300円の回答が出された。JR東海は個別賃金方式を採用しており、35歳ポイントの基準内賃金について、標準的な定期昇給分とは別にベアを実施するとしている。夏季手当の回答(3.05カ月分)は前年と同月数。

翌16日に出たJR東日本の回答は、「基本給に対する0.25%分のベアの実施」。さらに初任給5,000の引き上げと2014年以降採用者に対する加算の経過措置が示された。主力組合のJR東労組が加盟するJR総連は、このベアと初任給引き上げによって「昨年を上回る基準内賃金平均1,328円(都市手当反映分を含む)を実現した」としている。JR東日本の前年実績はベースアップを「一律1,000円」とする回答。JR総連は、これまで社員間の「格差ベア」反対方針を掲げており、今回の結果については「『所定昇給額を算出基礎にしないベア』の実現と若手に厚く配分することで、格差ベアによって生じた賃金格差を『初任給見直し』によって解消した」と述べている。

JR貨物で19年ぶりのベア回答

本州3社以外では、16日に四国を除く3社に回答が示された。JR九州は前年同様300円のベア、および夏季手当2.52カ月(前年同月数)に加えて一律5万円の一時金加算(月数換算すると合計で2.71カ月分)の回答となった。JR貨物は300円のベア回答(一律定額分配)で、ベア実施は19年ぶりのこととなる。さらに55歳以上の職員の賃金改善措置、嘱託職員の基本給300円加算などが加わっている。

16日回答のJR北海道、23日回答のJR四国では、これまで通りベアゼロ回答となった。ただし、JR北海道では、「55歳以上の社員、エルダースタッフの一時金支給」や「スタッフの夏季手当1万円加算」などの回答を得ている。また、交渉が長引いたJR四国は、夏季手当で前年(1.89カ月)を0.05カ月上回る1.94カ月の回答が出ている。