電機、鉄鋼大手1,500円、自動車は前年プラスαの賃上げ/金属大手の集中回答日

2018年3月14日 調査部

[労使]

自動車総連、電機連合など金属関係産別で構成し、春季労使交渉の相場形成に大きな影響力をもつ金属労協(JCM、髙倉明議長、約200万人)加盟の主要労組に対して、14日、経営側が一斉に回答を示した。電機および鉄鋼大手ではベースアップ・賃金改善分として1,500円の引き上げ、自動車は前年プラスαの流れが形成されている。

5年連続で賃金引き上げが実施へ

開発・設計職基幹労働者賃金の個別ポイントで3,000円の水準改善を要求していた電機大手メーカー労組に、日立製作所やパナソニックなど13社は揃って昨年を500円上回る1,500円の水準改善を回答。交渉を複数年方式で行う鉄鋼大手の新日鐵住金など4社は向こう2年分の賃金改善として3,000円(18年1,500円、19年1,500円)を回答(組合要求は18年3,500円、19年3,500円以上を基本)した。2年前の交渉での回答は16年1,500円、17年1,000円だった。総合重工大手の三菱重工、IHIなどは18年単年で1,500円を回答した。

大手自動車メーカー労組が揃って3,000円の賃金改善を要求していた自動車では、前年実績プラスαの流れが形成され、一時金では組合要求どおりの満額回答が相次いだ。

ホンダは昨年を100円上回る1,700円、一時金は満額の年間6.2カ月、日産は要求満額の賃金改善分3,000円に加え、一時金も満額の5.8カ月となった。一方、これまで交渉リード役だったトヨタ自動車は、正社員だけでなく、期間従業員や60歳以上の再雇用者などを含むすべての労働組合員(約6万8,000人)の処遇改善を交渉事項とした。このうち正社員の賃金改善分は前年実績の1,300円を上回ったが公表はしていない。一時金は要求どおり年間243万円を回答した。

この結果、金属大手では賃金引上げが5年続けてベースアップ、賃金改善などの形で実施されたことになる。同日12時50分現在、賃上げ額の平均は1,559円(41組合)。昨年と比較可能な36組合でみると昨年を525円上回っている。