賃金改善要求額の平均は過去3年で最も高い4,800円超/JAMの要求状況

2018年3月7日 調査部

[労使]

金属、機械関連の中小労組を多く抱えるJAM(安河内賢弘会長、約37万人)は1日、2月26日現在の2018春季生活闘争の要求状況を公表した。ベースアップなどの賃金改善分の要求額をみると、300人未満の単組の平均額が全体平均を上回っている。また、平均賃上げの要求額は過去3年間で最も高い額となっている。

組合規模が300人未満、100人未満の平均額が全体平均を超える

今次闘争の交渉単組数は、1,564ある交渉単位組合のうち30組合が要求を断念したため1,534となっている。そのうち、26日現在で賃金要求を提出したのは754単組(48.2%)で、要求提出の状況は昨年同期(49.5%)とほぼ同じペースとなっている。

要求組合のなかで賃金構造維持分を明示している単組は538あるが、賃金改善分を要求している496単組の賃金改善分の平均額をみると4,878円となっており、昨年同期(4,507円)を300円以上、上回った。賃金改善分の平均額を組合規模が300人未満の組合だけでみると4,889円、100人未満の組合だけでみると5,066円で、いずれも全体平均を超える額となっている。

一方、平均賃上げでの要求平均は8,928円で、同一単組で昨年と比較すると229円増。300人未満の組合だけでみると8,692円で、同一単組昨年比で152円増となっている。JAMでは、平均賃上げの要求基準については2016年から3年連続で6,000円を掲げているが、全体での平均要求額は今年が最も高い(2016年は8,709円、2017年は8,624円)。

重視する個別賃金の取り組みでは、個別賃金要求水準を明示した単組数は209単組で、昨年同期よりも10単組多い。

1日に会見した安河内会長は「中小を含めすべての規模で賃金改善分の要求額が昨年比でプラスに転じたのはこの3年間で初めてのことだ。今年はベア獲得の千載一遇のチャンス」と述べるとともに、人手不足により中小労働者は残業、休日出勤を余儀なくされているが、コスト増によってそれが売上に結びつかない企業もあるとし、「だから中小は歯をくいしばってでも賃金を上げざるをえない状況にある」と強調した。

また、JAMでは、中小企業の事業環境の改善に向け、適正取引や付加価値配分の適正化を実現させる「価値を認め合う社会へ」の取り組みを今季闘争でも展開。川野英樹・副書記長は同日までに103単組が経営側へのこの取り組みに関する要請書を提出したことを明らかにした。