300人未満の賃上げ水準が全体平均を上回る/連合第3回集計

2017年4月5日 調査部

[労使]

連合(神津里季生会長)は3月31日、2017春季生活闘争の第3回回答集計結果(3月29日17時時点)をとりまとめ、公表した。要求を提出した5,756組合のうち1,954組合について集計した平均賃金方式での賃金引き上げ額は定昇相当分込み6,147円、率で2.05%となった。一方、ベースアップなど賃上げ分が明確な1,155組合の賃上げ額は、全体平均で1,326円、率は0.44%。規模別では、300人以上が額1,319円、率0.43%、300人未満は、額1,442円、率0.59%で、300人未満が、額、率ともに全体平均および300人以上を上回る水準となっている。

3月末の賃上げは6,147円、2.05%

3月29日時点での回答集計結果を見ると、集計組合総数は8,102組合で、要求提出組合は5,756組合。このうち、平均賃金方式では1,954組合が回答を引き出し、定昇相当分込みの賃上げ額(集計組合員数による加重平均)は6,147円、率(同)は2.05%となった。昨年同期に比べ、額で92円、率でも0.04ポイント下回っている。

このうち300人未満の組合では、これまでに回答を引き出した1,155組合の賃上げ額は4,971円で、率は1.99%。昨年同期と比べると、率で0.01ポイント下回り2%台を割り込んだものの、額では17円の微増となった。業種別では、交通運輸の300人未満が、227組合の一人当たり加重平均で前年同期比1,045円、0.42ポイント増と、額、率ともに前年を大きく上回っているのが目立つ。

300人未満の半数が1,001円以上の賃上げ

平均賃金方式で集計した組合のうち、定昇相当分を除くベア・賃金改善分など賃上げ分が明確な1,155組合の賃上げ分を見ると、額は1,326円、率は0.44%。規模別では、300人以上(573組合)が額は1,319円、率は0.43%なのに対し、300人未満(582組合)は、額が1,442円、率は0.59%。300人未満が、額、率ともに全体平均および300人以上を上回る水準となっている。

また、300人以上で賃上げ額が1,001円以上だった組合は、573組合の44.0%にあたる252組合。一方、300人未満では、582組合の50.9%にあたる296組合が1,001円以上の賃上げを獲得している。この状況について須田孝総合労働局長は、「1,000円にいくら積めたかという部分では、大手(300人以上)の方は、2016年は(568組合のうち)287組合50.5%だったものが今回は(573組合のうち)252組合と6%ポイントほど下がっているが、中小(300人未満)は昨年の(472組合のうち)207組合43.9%が、今の段階で(582組合のうち)296組合、約51%と、中小の頑張りが目立っている」などと説明している。

各組織が労使交渉のなかで底上げ春闘を体現している/神津会長

さらに、賃上げ分が明確な1,155組合のうち、昨年との比較が可能な894組合の賃上げ分を見ていくと、全体が前年より87円少ない917円、300人以上(476組合)も前年比96円マイナスの912円にとどまっている一方、300人未満(418組合)では前年より100円多い1,015円となっている。

神津会長は、「300人未満の中小組織について、昨年対比ができるところの賃上げ、ベースアップが昨年の現時点同時期の水準を上回っているということは、それぞれの組織が労使交渉のなかで、底上げ春闘を体現してきたものだ」と評価。今後について、「(妥結組合は)まだ3分の1なので、ここから先に何としてもつなげていきたい」としている。

なお、一時金は、年間月数での加重平均は4.94カ月で前年同期を0.12カ月下回った。金額では1万5,611円増の161万8,190円となっている。

非正規労働者の時給は前年同期比4円強の引き上げ

非正規労働者の時給引き上げの状況を見ると、単純平均の賃上げ額が24.63円、加重平均は23.49円。昨年同時期と比べると、単純平均で4.06円、加重平均で4.19円上回った。なお、平均時給は単純平均が964.56円、加重平均が949.17円となっている。

一方、月給の引き上げ状況は、単純平均の賃上げ額が4,858円で、率は2.26%。加重平均では額が4,402円で、率は2.10%となった。

2017 春季生活闘争 第3回回答集計結果について/連合HP新しいウィンドウ