NTTグループ主要8社は平均1,400円で決着――非正規含む新たな手当創設で合意

2017年3月24日 調査部

[労使]

NTTグループ各社の労使交渉はほとんどが15日中に決着し、NTT東日本、西日本、ドコモなど主要8社では、正社員の月例賃金を平均1,400円改善することで合意した。それぞれ昨年実績を200円下回った。一方、正社員にだけ適用されていた食事補助を廃止し有期社員も含めた新たな手当(サポート手当=フルタイム月額一律3,500円)の創設については、賃上げ交渉に先立ち労使合意している。

NTTグループ企業の約270労組で構成するNTT労働組合(約17万人)は、今季交渉で、正社員(基準内賃金および成果手当等)の賃金改善だけでなく60歳を超えた継続雇用の社員と契約社員についても昨年と同じく月額1人平均4,000円の賃金改善を求めた。

労働組合側は四半期決算の動向から営業利益は過去最高が見込まれるなど、グループの事業運営が堅調に推移しており、今後の事業戦略に対応していくための「人材への投資」が必要なこと、また、経済の自律的な成長を実現するためには、所得の向上を通じた消費拡大が必要だと主張。一方、経営側は財務に長期的な影響を及ぼす賃金改善は慎重な検討が必要とし、短期的な業績は特別手当(賞与)等に反映するとして、ヤマ場の15日まで労使は膠着状態が続いた。

交渉の結果、15日に一斉に回答が示され、主要8社は一人平均1,400円(基準内700円、成果手当一人平均700円)を統一回答。一方、月給制の60歳超契約社員については特別手当(評価部分)への上積み回答が示されたが、それ以外はゼロ回答で収束した。昨年は、同じ平均4,000円の要求に対して正社員の月例賃金平均1,600円(基準内賃金700円、成果手当900円)、60歳超の継続雇用の月給制社員1,100円、リーダー的な契約社員の職責手当1,100円の賃金改善で妥結していた。

特別手当(賞与)は昨年実績を上回る

一方、特別手当(賞与)については、好調な業績を反映して、主要8社とも昨年実績を上回った。「年間臨給方式」で、「NTTグループ統一モデル(40歳・一般資格1級)の基準内賃金」をベースに交渉した結果、持株会社144万9,000円(前年138万5,000円)、NTT東日本149万4,000円(同141万5,000円)、NTT西日本144万9,000円(138万5,000円)、NTTコミュニケーションズ144万9,000円、(同139万8,000円)、NTTデータ170万4,000円(同169万4,000円)、NTTドコモ180万7,000円(同176万3,000円)、NTTファシリティーズ144万9,000円(同138万5,000円)、NTTコムウェア144万9,000円(同138万5,000円)となり、各社とも前年実績を1万円~7万9,000円上回っている。

なお、サポート手当(仮称)の創設を期に、労使は2002年に導入された長期勤続者を前提としたカフェテリア制度について、中長期的な視点からメニュー全体の見直しに入ることを確認している。