月額6,000円の賃上げ、一時金4.3カ月を要求/JP労組中央委員会

2017年2月22日 調査部

[労使]

国内最大の単一労組である日本郵政グループ労働組合(JP労組、小俣利通委員長、24万1,000人)は16、17の両日、都内で中央委員会を開き、2017春季生活闘争方針を確認した。正社員の労働条件改善では、基準内賃金を2%(約6,000円)引き上げることを要求。年間一時金は4.3カ月を求める。

社会的な運動として賃金の引き上げを求める姿勢を打ち出す/小俣委員長

冒頭のあいさつで小俣委員長は、日本郵政グループの経営環境や収支状況について、「想像をはるかに超える勢いで厳しさが増しており、昨年度と比して、好転している要素を見出すことは困難。アグレッシブな投資や警衛戦略の見直しに基づく、新たな構造的変換などが生じているわけでもない」などと説明したうえで、「経済要求の項目や水準を導き出していくのではなく、連合方針に則って、賃金の引き上げを求める姿勢を打ち出し行きたい」と強調。「連合の仲間と連帯し、暮らしの底上げ・底支えに向けて、社会的な運動として賃金の引き上げを求める姿勢を打ち出すことが重要だ」として、要求内容を昨年同様、「ベア2%相当6,000円、時給制契約社員の時間給40円引き上げ、正社員一時金4.3カ月などとしたい」と述べた。

さらに、格差是正についても、「職場には多くの期間雇用社員が働いており、業務運行上、欠かすことができない大切な仲間だ。とくに、集配職場では正社員との仕事の違いが大きくない。その一方で、グループ全体にパートタイムで働く期間雇用社員も非常に多く、フルタイムとは異なる働き方として、多様なライフスタイルに相応する意味からも重要。また、正社員登用により一般職となっても、年収ベースでは増加するものの、期間雇用社員の時より月給が下がってしまうといった問題提起もある」などと職場の課題が多岐に渡ることに触れつつ、「まずは基本給、一時金、手当、休暇、そして福利厚生を含め、不合理な処遇差を洗い出し、冷静に分析を行い、その克服に向けた取り組みの方向性を定める必要がある」と強調。今後、優先順位を見極めつつ、具体的な対応策を見出し、段階的な解消を目指していく考えを示した。

賃上げ要求は4年連続

JP労組が正社員の賃上げを要求するのは4年連続。今春闘では、「賃金カーブの維持分としての定期昇給の確保と、連合方針をふまえたベースアップに取り組む」とした。ベースアップ分は、正社員の基準内賃金を一人平均2%(約6,000円)引き上げることを求める。

2016年の春季生活闘争では、「賃金カーブの維持分として定期昇給を完全実施する」とともに、「正社員の基準内賃金を一人平均6,000円引き上げる」ことを要求した。その結果、定期昇給は完全実施されたものの、ベアについては日本郵便の経営基盤が脆弱であることや、マイナス金利政策が金融2社に影響を及ぼす可能性があることなどとして見送られた。ただし、株式上場への貢献を考慮して2016年度に限り、ベアに代わる措置として、夏季一時金の支給時に特別加算として8,000円を上乗せ支給することで決着した。

年間一時金は、「生活の底上げ・底支えの観点から、水準の引き上げに取り組む」として、4.3カ月を要求する。一時金に関しては、2016春闘でも4.3カ月を要求し、4.0カ月で一括妥結している。

格差是正に向けた期間雇用社員の処遇改善も

一方、格差是正に向けた期間雇用社員の処遇改善も要求の柱に据えており、① 正社員登用のさらなる促進 ② 月給制契約社員のベースアップ ③ 時給制契約社員の時給単価引き上げ ④ 休暇制度・福利厚生制度の改善――を要求する。契約社員の賃上げについては、月給制契約社員が基本月額6,000円、時給制契約社員は時間給40円の引き上げを求める。

また、労働力の確保・定着が困難な状況を踏まえ、必要な労働力の確保に取り組むほか、ワーク・ライフ・バランスを追求した総労働時間の縮減や、法令遵守の徹底とワークルールの確立にも取り組む。