昨年に続き東芝、シャープが産別統一闘争離脱/電機連合の第1回中央闘争委員会

2017年2月22日 調査部

[労使]

大手電機メーカーの労働組合などでつくる電機連合(野中孝泰委員長)は20日、今季の賃上げ交渉に向けた中央闘争委員会の初会合を本部(都内)で開き、中央闘争組合による産別統一闘争が正式にスタートした。大幅な赤字見通しに転じた東芝は2年連続で、経営再建中のシャープは5年連続で、それぞれ統一闘争から離脱することが正式に承認された。

中闘11組合の賃上げ要求は前年同額の「3,000円以上」

電機連合の中央闘争組合(以下、中闘組合)は、パナソニックグループ労連、日立グループ連合・日立製作所労組、東芝グループ連合・東芝労組、全富士通労連・富士通労組、三菱電機労連・三菱電機労組、NECグループ連合・日本電気労組、シャープグループ労連・シャープ労組、富士電機グループ連合・富士電機労組、村田製作所労連・村田製作所労組、OKIグループ連合・沖電気工業労組、安川グループユニオン・安川電機労組、明電舎労組、パイオニア労連・パイオニア労組の13組織で構成する。

中闘組合は、電機連合が設定した統一要求基準に基づく統一した賃上げ額を会社側に要求。スト指令権を中闘委員会に委譲したうえで、交渉を進め、統一決着を図る。今季の賃上げの統一要求基準は、「開発・設計職基幹労働者」(30歳相当)の個別ポイントで現行賃金水準の「3,000円以上」の改善となっており、昨年と同じ要求基準となっている。

第1回中闘委員会では、東芝労組とシャープ労組が統一闘争から離脱することが提案され、正式に承認された。これにより、両労組は今季について、中闘組合としての資格を凍結されることとなった。残る11の中闘組合は、16日までに要求書を経営側に提出したことが中闘委員会のなかで報告された。なお、三菱電機労組から、会社が労働基準法違反容疑で書類送検された件に関連し、「要求提出にあたり、組合から労働時間管理の徹底を要望し、これに対して会社側から、労働時間適正化委員会において長時間労働と過重労働対策についての議論を深めていきたいとのコメントが出された」との報告があった。

一時金要求の方法は「業績連動算定方式」、要求額提示など組合により異なる

賃金以外の要求内容をみると、一時金については、パナソニックなど4組合が業績に応じて自動的に金額が算定される「業績連動算定方式」を採用している。昨年まで同方式を採用していた村田製作所労組は、今回の交渉で「新しい一時金決定方式」を求める。6組合が具体的な要求額(月数)を掲げて会社との交渉に臨み、月数でみると、日立労組が5.9カ月(前年要求5.9カ月)、三菱電機労組が6.14カ月(同6.13カ月)、富士電機労組が5.5カ月(同5.5カ月)、沖電気工業労組が5.0カ月(同5.0カ月)、明電舎労組が5.3カ月(同5.5カ月)、パイオニア労組が4.5カ月(同4.5カ月)の要求となっている。

非正規労働者の賃金に関する取り組みでは、日立労組が非組合員についても「最低でも産業別最低賃金(今回の要求額16万2,000円)を保障する」よう要求しているほか、富士電機労組は「組合員に見合った水準」を要求。村田製作所労組は「電機連合要求の交渉ポイント3,000円から換算した時給換算で水準改善」を要求した。

総実労働時間短縮の関係では、富士通労組、パイオニア労組が、勤務間インターバル制度の導入を要求。すでに制度を導入している日本電気労組は、さらに、深夜勤務の縮減に向けた協議を求めていく。

中闘委員会ではこのほか、回答指定日を3月15日とすることや交渉ゾーンの配置などを確認。中闘組合を含めた各闘争参加組合は3月2日までにスト権を確立し、中闘組合は同日までにスト指令権を中闘委員会に委譲することなどを指示した。