定昇除きベア6,000円(2%)程度を要求基準に/フード連合の闘争方針

2017年1月25日 調査部

[労使]

食品産業関連の労働組合でつくるフード連合(松谷和重会長、10万6,000人)は23日に都内で中央委員会を開き、所得の向上による消費拡大を通じた「経済の自律的成長」および「食品関連産業で働く労働者の相対的地位の向上」を大義に、「賃上げ」に取り組むことを柱とする2017春季生活闘争方針を決定した。昨年に引き続き「フード連合賃金ビジョン」を前提とした「個別賃金・絶対額」にこだわり、要求基準として定昇制度が確立している組合は6,000円(2%)程度、定昇制度が確立していない組合は「11,000円以上」を設定した。

賃金ビジョンをもとに達成度に応じた要求を設定

フード連合では賃金実態調査を踏まえた賃金ビジョンを策定しており、「年齢別ミニマム基準」「到達目標」「目標水準」を設け、各組合は各組合の賃金実態を踏まえて、達成度に基づいた要求を設定することになっている。ビジョンをもとに、定期昇給制度の確立していない組合は、制度の確立を求めるとともに総額で「11,000円以上」を要求基準とした。また、定昇制度は確立しているものの「到達目標」に満たない組合はベースアップ要求として「6,000円(2%)以上」、到達基準以上ではあるが「目標基準」に満たない組合はベア「6,000円(2%)基準」、「目標水準」に到達している組合は定昇・賃金カーブ維持分を確保したうえで、「6,000円(2%)」を基準とした原資の獲得に取り組む。16年度の賃金実態調査によると年齢別ミニマム基準以下の組合の割合は57.7%、到達水準未満が23.6%、目標水準未満が13.0%、目標水準超が5.7%となっている。

更なる中小労組への支援を

また、ここ数年、産別として力点を置いてきた「グループ企業における親企業労組」や「業種別部会等における大手労組」からの中小労組への支援について、より重層的な取り組みとなるようさらに強化するとしている。方針では、地場・中小企業でも「人材不足への対応」に迫られていることから、「格差縮小」を図るための「千載一遇のチャンス」であるとしている。

冒頭のあいさつで松谷会長は「17春闘はいままでの取り組みをアップグレードするもの。これまでの流れを継続させていかなければならない」と述べたうえで、「持続可能な好循環のために底上げ・格差是正を図らなければならないのは、政労使の共通認識である」と強調。中小労組への支援をふくめて、賃金引き上げのさらなる拡大の必要性を訴えた。