月額2万円以上、時間額150円以上を要求/国民春闘共闘委員会の統一要求

2017年1月13日 調査部

[労使]

全労連などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事、小田川義和全労連議長)は1月12日、都内で第1回単産・地方代表者会議を開催し、統一要求として月額2万円以上、時間額150円以上の賃上げを掲げる2017年国民春闘方針を確認した。また、最低賃金要求として時間額1,000円・日額8,000円以上・月額17万円以上を設定。要求は前年と同様の水準となっている。

春闘アンケート結果/組合員は前年より高い賃上げ額を求める

国民春闘共闘委員会は毎年、要求の根拠とする春闘アンケートを実施し、1月12日付の集計では前年同期より多い約15万人から回答を得た(集計対象回答数は設問によって異なる)。回答者が求める賃上げ要求額の平均(加重)は2万4,430円で前年(2万3,900円)を上回っている。「2万円」またはそれを上回る要求額を回答した人の割合は53.4%と半数を超えた。

非正規労働者の時給については、要求額を「100円」とした人が29.2%で、それ以上の金額を答えた人と合わせると60.3%に達した。平均(加重)は130.4円で前年の122円より高くなっている。

要求にあたっては、さらに「賃金目減り分からの検討」の要素を重視している。とくに実質賃金が「安倍政権のもとで厳しい減となっている」と2013年以降の減少率が高いことを指摘し、「春闘アンケートを基礎に検討した賃上げ要求額は妥当だ」と述べている。

論議では、産別として「月額4万円以上・時給250円以上」を掲げる福祉保育労が、アンケートの自由記述欄に寄せられた組合員の声や他産業に比べて低い保育士の賃金水準に触れ、「回答者の賃上げ要求額平均は昨年より26%高い3万1,000円になった」と「生計費に基づく賃上げ要求」を主張。同様の賃上げ要求を行う医労連は、「秋闘の交渉で、年末一時金の大幅削減・超低額回答があり、結成24年にして初めて半日ストライキをやって闘っている単組がある。春闘でも行動に立ち上がる仲間を増やして闘いたい」と述べた。

「働き方改革」についても重点課題に掲げる

方針は、「『一億総活躍』の最大のチャレンジは『働き方改革』とされているとおり、労働法制が焦点となっている」とし、「ただし具体的な中身はきわめて貧弱である。長時間労働の是正については、インターバル規制は見送りの方向であり、36協定の上限規制も過労死ラインの月80時間前後のきわめて長い時間が取り沙汰されている」と指摘。さらに、「労働政策決定システムも、三者構成原則を骨抜きにしようとしている」ことなどを批判している。

また、あいさつで「働き方改革」に触れた小田川議長は、「内容はせいぜい労働契約法第20条のガイドラインにとどまっている」とし、「非正規という言葉をなくす」とうたわれている「同一労働同一賃金」のガイドラインの内容が、有期契約と無期契約の労働者の間の「不合理な労働条件の禁止」を定めた労契法の範囲にとどまっていると主張。一方で「高度プロフェッショナル制度を導入するといういわゆる残業代ゼロ法案は継続審議で撤回されていない」と、「労働基準法の一部を改正する法律案」の審議状況などに懸念を示した。方針はこれらの状況を踏まえ、「本物の働くルールの実現を求める国会請願署名」を進めるなどの取組みを掲げている。

ヤマ場を3月16日の統一行動日に設定

方針は回答集中日を3月15日に設定し、その翌日16日に予定する統一行動について「最大の結節点として特別に重視する」とし、「民間はストライキで、公務も早朝職場大会で最大限決起することを軸に、組合員大規模参加の終日行動を展開する」と強調している。また、同月28~30日に「上積み、回答引き出しを促進する」ための交渉集中ゾーンを配置する。