2017春季生活闘争に向けて賃上げ獲得への取り組みを強調/連合の新年交歓会

2017年1月11日 調査部

[労使]

連合の新年交歓会が5日、都内のホテルで開かれた。あいさつした神津里季生会長は、2017春季生活闘争に向けて「成果を持続させなければデフレに逆戻りしかねない」と強調し、今年の干支である酉年にちなんで、「獲りに行く年にしたい」と抱負を語った。

「労使で生み出した価値への対価を組合側が獲りに行く馬鹿力が発展の基盤」(神津会長)

神津会長は、これからの連合運動について、「連合は686万人の組織だが、全体の雇用労働者のなかでは一部にすぎない。連合に集う組合員だけでなく、むしろその外側にいる雇用労働者、あるいは社会全体のなかで額に汗して一生懸命に働いている者を代弁して、その人たちのことを考えて政策を実現していく存在でなければならない」と強調。2017春季生活闘争に向けては、「(2016闘争の成果を)持続させなければ何の意味も持たない。それどころか、本格的なデフレに逆戻りしかねないことを強調して、本格的に取り組みをスタートさせていく」としながら、今年の干支にちなみ、「今年は酉(とり)年であり、申(さる)年から酉年に移った。去るものは追わずというが、連合運動は去る者も引き留めて獲れるものはとる、『獲る』という酉年にしていきたい」と抱負を語った。

経営側に対しては、「中小・零細企業も含めて、経営者が、自らが生み出した価値に対して正当な対価を求めていくことは商取引でも必要なことだ。労使間においても、労使で生み出した価値に応当する対価を組合側が獲りに行く馬鹿力が、企業を発展させる基盤になる。(企業には)労使関係がなければだめだということを強く世の中に拡げていきたい」とメッセージを発した。

1億総活躍社会の「一番大きなチャレンジが働き方改革」(塩崎厚労相)

来賓からは、塩崎恭久厚労相、経団連の工藤泰三副会長(日本郵船会長)、民進党の蓮舫代表が順にあいさつした。塩崎大臣は、安倍政権の経済運営について説明しながら、「人口問題に初めて取り組むことになっている。50年後も人口を1億人にとどめるために、1億総活躍社会と言っているわけで、そのためには少子化対策をしっかりやることが前提だ。その一番大きなチャレンジが働き方改革だ」と強調。「多様な働き方を自ら選択できるようにすることが大事であり、労働市場改革がそのためには不可欠だということで、いま、働き方実現会議で議論している」とし、「働き方改革については実現会議で連合の考え方と同じ方向を向きながら、3月末に向けて計画をまとめていく」などと述べた。長時間労働の問題についても触れ、「電通において残念な事件が起きてしまった。私どももしっかり執行の強化も含めて、対処していくつもりだ」とし、「36協定の在り方についても近々、実現会議で議論することになっており、この結果をうけて、当然法改正にいたることになる」との見通しを語った。

経団連の工藤副会長は、少子高齢化、人口減少が日本経済・社会の課題の根源であり、それに伴う将来不安が日本経済にとって一番の問題だと指摘。「これからは現役世代の人数が少なくなるので、この状況をなんとか変えていかなければない」としながら、女性や非正規で働く人たちの活躍や、高齢者の労働参画を進めることで「むしろ労働生産性を上げるチャンスがきた」と強調した。そのうえで、「日本産業界の競争力の源泉は良好な労使関係だ。労使がお互いに抱えている問題を、お互いに考えるというのが日本の労使関係の根源の部分であり、これが日本経済の発展を支えてきた。『働き方改革』についても連合と一緒になって進めていくことが、生産性向上につながる」と述べた。

新年交歓会には、来賓あいさつはしなかったものの、日本銀行の黒田東彦総裁が昨年に続き出席した。