有期雇用労働者の無期雇用化に取り組む/コミュニティ・ユニオン全国交流集会

(2016年10月5日調査・解析部)

[労使]

地域をベースに中小零細企業で働く労働者や非正規労働者、外国人労働者などが個人加盟するコミュニティ・ユニオンの全国組織であるコミュニティ・ユニオン全国ネットワーク(約2万人、全国74ユニオンで構成)は10月1、2の両日、広島市で「第28回コミュニティ・ユニオン全国交流集会」を開き、① 雇用・労働・健康と平和・憲法・民主主義を破壊する安倍政権の退陣を求める ② 労働者保護法制の再構築、セイフティーネット・労働基準づくりの社会的労働運動に取り組む ③ コミュニティ・ユニオンを広げ、ネットワークを拡大・強化して、相談活動・組織化を進め、社会的発信力を強化する――などとする2017年度活動方針を決めた。

セイフティーネット・労働基準づくりの運動を展開

岡本哲文事務局長は方針提案の中で、「政府の『働き方改革』は『同一労働・同一賃金』『長時間労働をなくす』などと口当たりのよいことを言っているが、労働基準法の大改悪を前提としている。また、労働政策審議会の見直しで、政策決定プロセスから労働組合を排除しようとしている。危機感を持って、政府の『働き方改革』の本質をきちんと訴えていく必要がある」と強調、政府の「働き方改革」を批判した。

方針は、セイフティーネット・労働基準づくりの社会的労働運動について、「雇用の原則は期限のない直接雇用であることを制度的にも社会的にも確立する」としており、具体的には ① 有期雇用の「契約5年超え」対策の不更新条項契約や雇い止めを許さず、労働契約法を活用して、有期雇用労働者の無期雇用化と組織化に取り組む ② 派遣労働者の「3年超え」を理由とする雇い止めと、間接雇用促進・日雇い派遣の拡大を許さず、派遣労働者の雇用と権利を守る闘いに取り組む――としている。また、セイフティーネットとして、「最賃全国どこでもいますぐ1,000円に。生活できる賃金を」と訴えて、ユニオン全国同時アクションを各地で展開する考えだ。

問題解決能力の向上で組織化を進める

ネットワークの拡大・強化については、「100ユニオン・3万人組織を目指して、全国ネット加盟組織のない15県(青森、宮城、福島、群馬、埼玉、石川、福井、滋賀、島根、山口、徳島、高地、佐賀、長崎、沖縄)でのユニオンづくりや、既存ユニオンの加盟促進を図る」としている。

また方針は、幅広い組織との連携をうたっており、「連合や全国ユニオン、自治労などの産別との連携」とともに「労働弁護団、全国安全センター、移住労働者全国ネットなどとのネットワーキングも進める」としている。

組織強化では、問題解決能力の向上も掲げられており、(首都圏のユニオンでつくる)首都圏ネットの協力による企業本社での行動配置や、近隣ユニオンで支援し合うネットワーク機能の強化とともに、各地の労働委員会の活用をサポートする体制を充実させるとしている。争議解決能力の向上で、組織化促進にもつなげる考えだ。

採択した特別決議では、「政府の『働き方改革』は、急速に進む人手不足に対して、女性、高齢者、外国人を総動員するための法整備。これまでの『雇用契約』『労使関係』から『民法に基づく自由な契約』への転換で、本質は使用者による『働かせ方改革』だ。私たちが求める『働き方改革』は、違法状態が放置される現状への規制強化だ」などとしている。