単純平均5,305円、1.94%/国民春闘共闘委員会の第1回賃上げ集計

(2016年3月25日 調査・解析部)

[労使]

全労連や純中立組合などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:小田川義和全労連議長)は17日、2016春闘の第1回賃上げ集計をとりまとめた。16日までに有額回答を引き出した16単産・部会での単純平均は5,305円、率で1.94%。加重平均は5,624円、1.89%となっている。

パート・アルバイトの時間額引き上げは16.4円

国民春闘共闘は今春の賃上げ交渉で、「実質賃金の低下に歯止めをかけ、すべての働く人々の大幅賃上げ・底上げと格差是正を実現する」として「月額2万円以上、時間額150円以上」の賃上げを統一要求に掲げている。

16日の集中回答日を受けてまとめた第1回賃上げ集計によると、登録829組合の4分の1強にあたる216組合が回答を引き出している。このうち、有額回答を引き出した164組合の単純平均(一組合あたりの平均)は5,305円(1.94%)で、前年同期を417円(0.08ポイント)下回った。一方、組合員一人あたりで見る加重平均では、5,624円(1.89%)となり、こちらは前年同期を249円(0.18ポイント)上回る。

回答状況を詳しくみると、前年実績と比較可能な142組合の単純平均額は5,742円で、前年を511円下回る。率では95組合の比較で、前年比0.18ポイントマイナスの1.95%となっている。

パートやアルバイトなどの非正規雇用については、時間額の引き上げ回答があった67件の単純平均額は16.4円、月額では21件で平均7,601円となっている。

企業の将来も見据えた粘り強い交渉を

こうした交渉状況について、井上久全労連事務局長は記者会見の中で、「全体としては目標に遠く及ばない低額回答にとどまった。大企業にベア半額の回答が出ている影響もあるが、スト権確立や要求提出状況、アンケート集約も含め、昨年より少し強まった部分はあるものの、原則的な闘いで弱さを克服できていないことがあると思う」と分析した。

その一方で、「(第一次回答は)ほぼ昨年並み・微減の状況で、頑張れば追い上げが十分可能。深刻化している人手不足や非正規の課題を取り上げて、今後の企業の先行きも含めてしっかり交渉したところは前進回答を引き出している」などと指摘。「もう一度、単産や地域で統一闘争への結集を強め、腰を据えて粘り強く交渉していく」との姿勢を強調した。

全労連は春闘後段の取り組みを補強

一方、全労連(小田川義和議長)は23、24の両日、都内で幹事会を開き、3月の賃上げ交渉の第一次集中回答を踏まえた、今後の具体的な行動配置などについて確認した。

まず、3月29~31日の「交渉集中ゾーン」に、全ての組合が交渉を配置し、回答の上積み・引き出しを図る考え。特に、非正規誇張労働者の均等待遇の実現や処遇改善・底上げを重視し、「職場から1,000円未満で働く人をなくす」ために、最低賃金協定の締結・改善に取り組む。

そのうえで、4月13~15日の「統一行動ゾーン」では、「実力をかけた交渉を配置して経営者に決断を迫る」構え。労働時間の短縮、36協定の特別条項廃止など、働き続けられる職場を求めるとともに、賃金底上げと正社員化を重視して交渉を進める。4月14日のファストフード・グローバルアクションとも連動して、全国一律最賃制の実現を求める宣伝行動を全国各地で実施する予定だ。