期間雇用社員の無期転換前倒し、正社員の年間一時金4カ月で決着/日本郵政グループ

(2016年3月23日 調査・解析部)

[労使]

日本郵政グループの春闘交渉は17日、正社員の年間一時金を前年比0.2カ月増の4.0カ月とすることで決着した。一方、組合からの要求のあったベースアップは見送ることで妥結。正社員のベアに代わり、2016年度に限った措置として、夏季の一時金支給時に8,000円を上乗せすることとした。期間雇用社員についても、2016年度に限り、夏季一時金支給時に1万円を上限に上乗せする。このほか、労働契約法の改正に伴う期間雇用社員の無期労働契約への転換の取り扱いを1年半前倒しする。

ベアは見送るものの、夏季一時金に8,000円を特別加算

JP労組は2016春季生活闘争で、「賃金カーブの維持分として定期昇給を完全実施する」とともに、「正社員の基準内賃金を一人平均6,000円引き上げる」ことを求めた。これに対し会社側は、基準内賃金の改善について、日本郵便の経営基盤が脆弱であることや、マイナス金利政策が金融2社に影響を及ぼす可能性があることを理由に「困難」との回答を示し、ベアを見送ることで決着した。定期昇給は完全実施する。

ただし、昨年11月の株式上場への貢献を考慮し、2016年度に限り、ベアに代わる措置として、夏季一時金の支給時に特別加算として8,000円を上乗せ支給することとした。

なお、2015春闘では、組合側の6,000円の賃上げ要求に対し、1,000円で妥結していた。

年間一時金は一括妥結で前年実績を確保

年間一時金は、前年と同じ4.3カ月の要求に対し、前年を0.2カ月上回る4.0カ月で妥結した。

一時金に関しては、2015春闘では3.8カ月で妥結するとともに「特別手当」の支給について継続課題の交渉を行うとし、その後の交渉で「0.2カ月」が支給された経緯がある。今回は、前年実績である4.0カ月を確保するとともに、特別手当を付けずに一括妥結した形だ。

無期転換申し込み申請時期の1年半の前倒しも

一方、期間雇用社員の処遇改善についてJP労組は、月給制契約社員は基本月額6,000円、時給制契約社員は時間給40円の引き上げなどを要求していた。会社側は、正社員同様、賃金水準の改善は厳しいものの、株式上場にあたっての貢献を考慮するとして、2016年度に限った措置として、従来の一時金制度に基づく支給とは別に、夏季一時金の支給時に特別加算として1万円を上限に上乗せする回答を示した。

また、労組側は、労働契約法の改正に伴い、有期雇用契約労働者の無期労働契約への転換について、早急に協約化を図ることも求めていた。会社側は、期間雇用社員の契約が5年を超えて反復更新された場合の無期契約に転換を申し込める時期について、法律に基づく2018年4月から2016年10月に1年半前倒しするなどの回答を示し、妥結した。