生活実態を踏まえ、月例賃金にこだわった回答を勝ち取る/私鉄総連総決起集会

(2016年3月2日 調査・解析部)

[労使]

私鉄総連(藤井一也委員長、11万5,000人)は1日、東京・日比谷野外音楽堂で、「3.1中央総決起集会―職場の団結で支えよう賃上げ交渉 勝ち取ろう16春闘」を開き、組合員約3,200人(主催者発表)が参加した。藤井委員長は「停滞し続けてきた賃金の底上げや回復、物価上昇を根拠に、われわれの生活実態を踏まえ、月例にこだわった賃上げを勝ち取らなければならない」と訴えた。今後、回答指定日時に向けて交渉体制の強化を図る。

大手組合の回答指定日時は17日14時に

冒頭、藤井委員長はあいさつで、春闘に関する政府や経営側の動きについて、「安倍政権は16春闘でもこれまで同様、経営側に対して賃上げを要請している。(経団連が)1月に発表した経労委報告では、これまでの2年間で大幅な月例賃金の引き上げが実現し、デフレからの脱却は今一歩。企業・経営者が自主的に決断した成果だとしている」などと指摘したうえで、「あくまでも一部の大企業であり、私たちの生活改善にはほど遠い。従業員や家族の生活について経営者としての責務の視点が全く見えていない」と批判。「政治の力で賃上げをするのではなく、これまで停滞し続けてきた賃金の底上げや回復、物価上昇を根拠に、われわれの生活実態を踏まえ、月例にこだわった賃上げを勝ち取らなければならない」と強調した。

私鉄総連は2月29日に中央闘争委員会を開き、ヤマ場の戦術を確認。回答指定日時については、大手組合は3月17日14時、中小・ハイタク専業組合は同22日15時までとした。藤井委員長は、「14,15春闘の意義と成果を踏まえたうえで、今春闘でも回答を引き出すための交渉重視を柱に、不誠実な経営者に対しては各組合が回答指定日時以降、総連・地連・単組と対策・対応を協議したうえで、戦術を設定し、スト通告をしながらさらなる交渉を重ねて回答を引き出していく」と述べ、全組合員の「総がかり春闘」での交渉の追い上げを呼びかけた。

「多くの中小労組が連合方針に則って要求提出して闘っている姿を見せたい」/須田総合局長

集会では、連合の須田孝・総合局長や、交運労協の難波淳介・副議長(運輸労連委員長)らが来賓あいさつした。

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須田総合局長は3月1日現在の各産別の交渉状況について、「今年の方針で、大手準拠・追従から脱却し、中小自らが行動する要求を掲げた。自動車総連は2月25日段階で、約1,000組合のうち、メーカーは3,000円要求だが、3,000円超えの要求が10%を超えた、との報告を受けている。今まではトヨタを超えられない要求・回答だった。これをどう打破するかが今年のメインでもある」と説明。さらに、「金属(産業)を中心に団体交渉が進められている。経営側の主張は、先行き不透明、足元の収益が危うくなってきた等、われわれの要求を断る口実を一生懸命言っている。先行き不透明はいつの時代もそうで、置かれた環境のなかで舵を取っていくのが経営者。われわれは産業・企業の発展のために日々努力し、多くの職場の仲間と議論して要求を組み立てた。それに対しての誠実な回答を求めていく」と訴えた。

連合は今月3日に全体集計をまとめるとともに今後の闘争戦術を確認する。須田総合局長は、「(3日の集計では)連合方針に則って多くの中小労組が要求を提出して闘っている姿を見せたい。連合の立場で様々な団体への要請を進めることで、団体交渉の環境整備も進めていく」考えを示した。具体的には、今回、初めて中小企業の経営者団体とのトップ懇談会を開催。4月には、中小企業で働く人や労働組合のない経営者の悩みを受け付ける相談窓口も開設するという。

「人が集まる魅力ある産業にするために正々堂々と要求し交渉に臨む」/難波副議長

難波副議長は、「人流・物流業務は、他産業に比べて長時間労働・低賃金で、こうした労働環境が若い人たちにとって魅力ある産業に映らず、慢性的な要員不足が続いている」などと産業の実態に言及。「人が集まる魅力ある産業にするためには、いま何が必要なのか。それは賃金であり労働条件であり取引環境の改善・整備。こういった旗を立てて正々堂々と経営側に要求し交渉に臨むことが必要だ」などと主張した。

集会では、地連、大手組合、青年女性の代表がヤマ場に向けた決意表明を行ったほか、「『月例賃金の引き上げ』に徹底してこだわり、回答を引き出すための交渉重視を柱に、16春闘を最後の最後までたたかい抜く」などとする集会宣言も採択。集会後には日比谷野音から東京駅手前までデモ行進した。