最大の課題は非正規と60歳超え契約社員の処遇改善/NTT労組の春闘要求

(2016年2月19日 調査・解析部)

[労使]

NTT東西やドコモ、データなど、NTTグループ企業の労組で構成するNTT労働組合(16万9,000人)は17日、都内で中央委員会を開き、グループ主要8社に対して、非正規労働者、60歳超え契約社員、正社員とも、すべて横並びで4,000円(平均)の改善を柱とする今春闘の要求方針を決定した。「底上げ・底支え」を重視するため、初めて非正規・契約社員の処遇改善を要求の前面に打ち出す。

非正規も正社員と同額の4,000円の賃金改善を求める

NTT労組は2014、15年の春闘で正社員には1,600円、2,400円の回答を引き出した。一方、非正規労働者の賃金改善も要求したが、全組合員の約25%を占める有期雇用の組合員(非正規労働者及び60歳超え組合員)にはゼロ回答となったため、昨年夏の定期大会では、「強い問題意識をもつ」と総括していた。こうした実情を踏まえ、春闘方針を説明した平田雅則事務局長は、「今次春闘の最大の課題である非正規労働者および60歳超え契約社員等の処遇改善に向けては中央本部と企業本部の綿密な連携により要求貫徹を目指す」と提起。また、冒頭の挨拶で野田三七生委員長は、NTTグループの第3四半期の営業収益について6期連続で「増収」かつ「過去最高益」で、「極めて堅調に推移している」としたうえで、「すべての働く仲間の貢献と努力がNTTグループ各社の今日的な事業運営を支えていること、将来の持続的発展期のためのバックボーンであることは、労使の共通認識。そのことに思いをはせた春の取り組みとする」と、今季交渉の中心課題を強調した。

要求の考え方をみると、月例賃金については、①組合員の生活向上とりわけ非正規労働者の「底上げ・底支え」②NTTグループ事業の成長・発展に寄与している組合員の努力と成果③今後の事業戦略に対応していくための「人材への投資」――等を総合的に勘案し連合方針に準じた2%程度の改善を求めるとした。

そのうえで、具体的な要求としてNTTグループに対して、①非正規労働者(基本賃金等)、②60歳超え契約社員(基本賃金)、③正社員(月例賃金)――について、4,000円(平均)改善の要求化を図るとしている。また、特別手当(一時金)については、「年間収入の確保・向上」に向けて、昨年水準を基本に業績堅調な会社についてはさらなる上積みをめざす。非正規労働者の特別手当(一時金)については制度化とあわせて各企業本部が要求する。

18日以降、中央本部と各企業本部は要求書を提出。ストライキ批准一票投票を実施し、スト権を確立したうえで、3月16日に設定された連合の最大のヤマ場を意識して交渉を追い込む。

「期間の定めのない直接雇用」を原則にした雇用政策も決定

雇用の安心・安定に向けたNTT労組の雇用政策

また、雇用の安心・安定に向けたNTT労組の雇用政策を決定した。雇用の原則を「期間の定めのない直接雇用」とし、労働関係法の改正への対応についてもこの原則を基本に取り組みを進める。具体的には、正社員(無期雇用)については65歳まで働き続けられる環境整備に取り組みつつ、有期雇用者については正社員(無期雇用)への登用・拡大を第一義にする。そのうえで、有期雇用から無期雇用への転換にも取り組むとしている。また、派遣労働者については「派遣労働は臨時的・一時的なものであること、また常用代替を防止する」との原則を踏まえ、「派遣先での直接雇用化」および「派遣元での無期雇用化」による雇用の安定・確保に取り組むとしている。