春季労使交渉をめぐる諸問題を議論/連合と経団連の懇談会

(2016年2月3日 調査・解析部)

[労使]

連合(神津里季生会長)と経団連(榊原定征会長)は29日朝、都内で懇談会を開き、春季労使交渉をめぐる諸問題について意見交換した。経団連の榊原会長は「活力ある日本を構築するために積極的に役割を果たしていきたい」などと主張。これに対し、連合の神津会長は「デフレからの脱却、経済の好循環に向けて、賃上げが大きなテーマとしてある」などと述べ、月例賃金の引き上げを未組織企業も含めた全ての企業に広げていく考えを改めて強調した。今後、3月16日の大手集中回答日に向けて労使交渉が本格化する。

労使で知恵を出し合い、自社の成長と活性化につながる方策を見出す/榊原会長

冒頭、榊原会長はあいさつで、設備投資と賃金が経済の好循環実現の鍵を握るとの認識を示したうえで、「賃金については、収益が拡大した企業に対して、年収ベースで昨年を上回る賃金引き上げを期待して、会員各企業に積極的で前向きな対応を呼びかけている。日本経済の長年の懸案であったデフレ脱却にあと一息というところに来ており、なんとしても達成しなくてはならない」と強調。「経済の好循環を回していくとの社会的要請も考慮しながら、労使で知恵を出し合い、自社の成長と活性化につながる方策を見出していくことが求められる。(今年の労使交渉では)認識を共有しながら、活力ある日本を構築するために積極的に役割を果たしていきたい」などと述べた。

全ての経営者に具体的な賃上げの対応を/神津会長

これに対し、神津会長は、「デフレからの脱却、経済の好循環に向けた労使の努力のなかに、賃上げが大きなテーマとしてあることは衆目の一致するところ。底上げ春闘として注目されている」と指摘したうえで、今春闘のポイントとして、 (1) 2014年、2015年と一定の成果を実現できたが、それがここでストップしては、デフレ脱却は夢のまた夢と言わざるを得ない (2) 一時金は各企業の収益次第であり、短期的な収益の如何に関わらず、全ての企業でデフレからの脱却に向けた役割の発揮を月例賃金の引き上げに求めていく (3) 労組のないところも含め、全ての経営者に具体的な賃上げの対応をお願いしたい (4) 付加価値の適正配分に従来以上に意を砕いて欲しい――の4点を挙げ、月例賃金の引き上げを全ての企業に広げていく考えを改めて強調した。

中小企業の賃上げや非正規労働者の働き方等について議論

それぞれの副会長などを交えた意見交換では、まず連合側が連合白書、経団連側は経営労働政策特別委員会報告のポイントを紹介。その後、自由討議となり、中小企業の賃上げや非正規労働者の働き方、女性の活躍推進などについて議論した。