地域別最賃の改定目安を答申、加重平均で14円/中央最低賃金審議会

 

(2013年8月7日 調査・解析部)

[行政]

厚生労働省は7日、中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関、会長:仁田道夫・国士舘大学経営学部教授)を開き、田村憲久厚労相に2013年度の地域別最低賃金額改定の目安を答申した。改定額は加重平均で14円となり、昨年度の目安額より7円高く、3年ぶりに2ケタの目安となった。

最低賃金は、最低賃金法に基づき、使用者が労働者に支払う最低限の賃金水準。毎年、厚労省の中央最賃審議会が示す目安をもとに、各都道府県の地方最賃審議会が協議して改定額を決める。今年は7月2日に開かれた中央最賃審議会に田村厚労相が3年ぶりに出席。仁田会長に手交した諮問文には、2013年度の目安については、「現下の最低賃金を取り巻く状況を踏まえ、経済財政運営と改革の基本方針(2013年6月14日閣議決定)及び日本再興戦略(同日閣議決定)に配意した調査審議を求める」ことが明記された。

これを受けて、実質的な審議をする目安小委員会では7月2日から議論を開始。これまで4回の議論を積み重ね、5日夕刻から始まった大詰めの第4回小委員会は6日未明まで審議が続き、労使双方の意見に隔たりが大きいなか、最終的に公益委員の見解に委ねるかたちとなった。

答申された目安をみると、今年度の改定額は全国加重平均で14円となり、昨年度の目安(7円)より7円高い。10円を超える2ケタの改定額は2010年度(15円)以来、3年ぶりとなる。

目安はさらに、都道府県の経済状況により設けられたA~Dランクごとの目安も示す。東京、大阪、愛知などのAランクでは19円の改定、埼玉、長野、静岡、京都、兵庫などのBランクは12円、北海道、群馬、新潟、岐阜、岡山、香川、福岡などCランクは10円、青森、島根、高知、沖縄などDランクは10円の目安が示された。

生活保護受給額が最低賃金で働いた手取り収入を上回る「逆転現象」については、目安どおりに改定されれば、逆転が続く11都道府県のうち、北海道以外の10都府県(青森、宮城、埼玉、千葉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫、広島)で解消する見通し。残された北海道については、2年以内に「できるだけ速やかな解消に向けた審議を行う」(目安小委員会報告)こととされ、今年度は11円から22円の目安幅が示された。今後、目安を受けた地方最賃審議会での審議を経て、新しい最低賃金に改定される。