理想の社会像は「お互いに協力し合い、支え合う社会」/連合調査

(2011年1月21日 調査・解析部)

[労使]

連合(古賀伸明会長)は先ごろ、「理想の日本像に関する意識調査」の結果を発表した。理想とする社会のイメージのトップは、「お互いに協力し合い、支え合う社会」。日本が安定的に成長・発展するためには「就職率向上や終身雇用など雇用の安定」がもっとも多かった。

調査は、連合のめざすべき社会像「働くことを軸とする安心社会」の考え方を提起するにあたり、国民の意識を把握することが目的。昨年12月中旬、モバイルリサーチにより実施し、15~59歳の男女1,000人の回答をまとめた。

収入よりワーク・ライフ・バランス、低負担・低福祉より高負担・高福祉を志向

理想とする社会のイメージについて、あてはまるか否かを尋ねたところ、あてはまる(「あてはまる」と「どちらかといえばあてはまる」の合計)もっとも高かったのは、「お互いに協力しあい、支え合う社会」の86.3%。次いで、「従業員が大切にされる社会」(85.9%)、「個人の力が発揮できる社会」(85.1%)、「犯罪が少ない社会」(83.7%)、「子どもの将来に希望が持てる社会」(82.3%)、「引退しても老後が安心な社会」(81.5%)「男女の格差のない社会」(80.4%)が8割台で続いた。

各項目の「あてはまる」(同)の値を比較したところ、「収入は高いが、残業も多い社会」が33.5%だったのに対し、「収入は低いが、ワーク・ライフ・バランスのとれた社会」は55.7%と、後者が22.2ポイント高かった。また、「税金は高いが、社会保障の充実している社会」(64.8%)と「税金は低いが、個人の責任が重い社会」(26.9%)では、前者が後者を37.9ポイント上回った。

9割強が現在の生活や将来に不安を感じることがある

自分の現在の生活や将来への不安については、93.0%が「感じることがある」と回答。不安を感じる要因(複数回答)は、「老後の生活」がトップで65.5%を占めた。以下、「収入」(59.7%)、「生活費や家計のやりくり」(54.5%)、「日本の財政問題」(50.8%)、預貯金など個人資産」(48.8%)となっている。

日本が安定的に成長・発展するには「雇用の安定」が重要

1年後の日本の将来が今より良くなっていると思う人(「非常に良くなっている」+「ある程度良くなっている」)は、1割弱(8.5%)。3年後では2割弱(17.7%)、5年後でも3割強(32.6%)にとどまった。そこで、日本の安定的な成長や発展に効果がある、または重要だと思うもの(複数回答)を尋ねると、「就職率向上や終身雇用など雇用の安定」(71.9%)、「政治力」(49.0%)、「経済力」(48.7%)、「労働環境の改善」(42.1%)の順になった。

働くことが社会生活の軸であるべきことが示された

理想とする社会のイメージのトップが、「お互いに協力し合い、支え合う社会」だったことに対し、連合は、「提起する『働くことを軸とする安心社会』にまさしく合致するものだ」と強調。日本が安定的に成長・発展するために必要なことで「雇用の安定」と答えた人がもっとも多かった点についても、「働くことが社会生活の軸であるべきことが明確に示された」と指摘している。