非正規労働者を支援する専門部局を創設/連合の運動方針素案

(調査・解析部)

[労使]

連合(高木剛会長)は8月24日、中央執行委員会を開き、10月11~12日に都内で開く定期大会で決める2008~2009年度運動方針の素案を確認した。今後2年間の運動の力点として、 (1) 非正規労働者や中小零細企業で働く労働者への支援・連携の強化、組織化の推進 (2) 企業や経営者団体の社会的責任と、政治・行政の本来的機能の追求 (3) 「地域に根ざした顔の見える運動」のさらなる前進による、地域で信頼され頼りがいのある運動の構築――の3点を掲げている。

今回の運動方針(素案)は従来以上に、中小・非正規労働者への支援と地域活動を強化する方向性を前面に打ち出しているのが特徴。これらの運動展開に関しては、2年前の前回大会でも力を入れる姿勢を強調していた。素案でもパート共闘の立ち上げなど、「この間、連合は非正規雇用問題を重視してきた」と総括している。しかし、素案では「その取り組みが労働組合全体のものとはなっておらず、組織化についても非正規労働者や中小労働者全体で見れば、ごく一部にとどまっている」ことに加え、「一部には『大企業正社員と公務員中心の連合はもはや労働者を代表する組織ではない』といった主張が見られる」などと指摘。取り組みの不十分さを反省した上で、「労働組合を最も必要とする労働者にとって、労働組合が頼りになる存在になっているかが問われている」とし、「中小・非正規労働者とも連帯する運動の再構築が急務だ」と訴えている。

具体策としては、非正規労働者や中小労働者を支援する専門の部署となる「非正規労働センター」(仮称)を創設。情報提供や社会的キャンペーン、労働相談などの総合的な支援や組織化に取り組む体制をつくる。また、インターネットの活用を通じて、非正規労働者などとのネットワークも構築する考えだ。

地域活動については、個人で加盟できる「地域ユニオン」を都道府県単位におかれているすべての地方連合会に設置。さらに、市町村レベルの活動拠点となる地域協議会にも、地域ユニオンの「支部」もしくは「地協ユニオン」の結成を促すことで連合の存在感を高め、地域労働者の拠り所としての機能を強化したいとしている。

古賀伸明事務局長はこうした運動方針の方向性について、「中小やパートなどの支援は、これまでもやってきたつもりだが、まだ大きなうねりにはなっていないのが実態。非正規労働センターを位置づけ、もう一度、やっていかねばならない」などと説明している。

素案は今月1日の中央執行委員会で示され、その後の議論を踏まえて修正・補強を施した。今後も議論を重ね、10月の定期大会で正式決定する予定だ。