今春闘を上回る賃上げを/連合の07年春季生活闘争基本構想

(調査・解析部)

[労使]

連合(高木剛会長)は19日の中央執行委員会で、来年の春闘に向けた基本構想をまとめた。今春闘を上回る賃上げを要求するほか、恒常的な残業を削減するため、法令で定められた基準を上回る割増率の達成をめざす内容。

基本構想は、好況の持続や順調な企業業績の一方で個人消費が伸びていない「原因のひとつに分配率の問題がある」と指摘。97年以降、労働分配率が低落傾向にある半面、企業分配率が上昇しているなどとして、労働分配率の改善と格差是正に向けた配分の見直しを07年春闘の基本スタンスに掲げた。

具体的には、賃金カーブ維持分と物価上昇分を確保したうえで、生活向上分を加味することで、今年を上回る賃上げ要求を組み立てる方針。産業・企業間で業績格差が生じていることから、今春闘同様、ベアの文言はあえて用いず、各企業の実態に応じた「賃金改善」を求める。ただし、要求に当たっては、生活のベースとなる月例賃金の改善を重視する。

基本構想は、長時間残業の解消にも力点を置いている。具体策として、「毎月何十時間も残業する人がゴロゴロ職場にいるような実態をつくっている36協定ならば、当然見直さねばならない」(高木剛会長)との考えから、36協定の協定内容の再確認などの総点検運動の実施を提起。時間外割増率についても、最低でも30%(休日割増率は40%)の達成をめざす。

時間外割増率は現在、企業は従業員に残業を命じた場合、平日の就業時間外は25%以上、休日は35%を超える割増残業代を支払う義務を負う。実際には、この最低基準に設定している企業が多い。そこで、「割増率が労働基準法に張り付いているところは、少なくともそれを上回るようにしようという方針を示した」(同)。

このほか、09年度からスタートする裁判員制度への対応として、同制度で労働時間中に裁判員候補者に選ばれて地方裁判所の呼び出しを受けたり、裁判員として出席する場合には、有給扱いとする労働協約の締結も推進する。

連合では今後、基本構想をたたき台に討議を重ね、12月7日の中央委員会で07年春季生活闘争方針を決める予定だ。