昨年実績200円以上または3200円の確保/連合中小妥結ミニマム基準

(調査・解析部)

[労使]

連合は16日、中小労働委員会を開き、交渉が4月下旬以降にずれ込む中小・地場組合に向けた妥結ミニマム基準を「昨年実績200円以上の上積み、または3200円の確保」とすることを確認した。4月中旬現在の賃上げ集計(300人未満規模)で、昨年実績を269円上回っていることなどから、昨年(3000円)より200円高い水準での妥結ミニマム基準設定となった。

連合(中小労働委員会)は妥結ミニマム基準設定を踏まえ、未解決組合に対して、「昨年実績を上回る解決をめざす」ことを指示し、社会的な底支えと中小相場の波及の必要性を強調。地方連合に向けては、「地場・未組織労働者への波及」を求めた。

連合が発表した300人未満の中小の賃上げ集計(4月13日)をみると、加重平均で3967円、1.56%(1593組合、約16万人)となっており、同一組合の昨年実績(3698円、1.47%)と比べて、額で269円、率で0.09ポイントのアップ。景気回復の反映といえる面もあるが、4月中旬に入っても昨年実績を200円以上上回る回答水準を保っており、連合の「中小共闘」を主軸に据えてたはじめての取り組みが一定の相場波及効果をもたらしたといえそうだ。中小労働委員会は、4月中旬までの交渉経過を振り返って、「妥結基準が機能した。近年続いていた妥結時期の遅れによる大幅な妥結額の減少を防いだ」として、初陣となった「中小共闘」に合格点を与えている。

今春の賃上げ交渉の最大の特徴は、連合が中小・地場労組の共闘を闘争の軸に据えて取り組んだこと。連合は、「賃金カーブ維持」を賃上げ要求の基調とし、2年連続で全体の統一要求基準設定を見送ったが、初めて中小労組に向けた統一要求基準となる「5200円」を掲げ、大手金属の集中回答日(3月17日)に続く3月22~24日を中小独自のヤマ場に設定、交渉の前倒しとともに集中化を図った。これは、大手労組の要求が軒並み「賃金カーブ維持」となり、相場形成が期待できないことから、中小自らの相場づくりを狙ったものだ。