論文要旨 大学生の労働組合認識とワークルール知識が就職活動に与える影響

梅崎 修(法政大学キャリアデザイン学部教授)

上西 充子(法政大学キャリアデザイン学部教授)

南雲 智映(東海学園大学経営学部准教授)

後藤 嘉代(労働調査協議会調査研究員)

本稿では、全国の大学生を対象にしたアンケート調査を使って、ワークルール知識と労働組合の認識の実態を把握し、それらが就職活動に与える影響を分析した。はじめに、ワークルール知識と労働組合の認識の間には強い相関関係があることが確認された。次に、ワークルール知識と労働組合の認識が内定取得とどのような関係性を持つのかについて探索的な分析を行い、これらの知識や認識と内定取得の間に明確な関係がないことを確認した。ワークルール知識や労働組合認識は、内定獲得に対しては明確な効果が不明であり、その因果関係の解釈も難しいと言える。そこで内定の有無ではなく、実際の内定先の違いにワークルール知識と労働組合認識が影響を与えているかを分析した。その結果、労働組合認識やワークルール知識がある学生は、労働組合がある企業から内定を獲得しており、一方で企業規模に関しては、労働組合認識がある学生は大企業から内定を得ているといえるが、ワークルール知識の影響については不明確であった。内定先の質を考慮すると、労働組合認識は労働組合がある企業と大企業、ワークルール知識は労働組合がある企業への就職に正の影響を持っていると解釈できる。

2015年特別号(No.655) 自由論題セッション●第1分科会(労働政策、ワークルール)

2015年1月26日 掲載