資料シリーズ No.184
東日本大震災からの復旧・復興過程と雇用・労働の記録(一般資料整理)─平成25年度~28年度半ばを中心に─
(JILPT東日本大震災記録プロジェクト取りまとめNo.9)

平成29年3月31日

概要

研究の目的

東日本大震災に伴う雇用・労働面への影響とそれへの政策対応について、主に記録の視点を中心に据えてその実態把握を行う。その取組を通じて、大規模な震災が発生した場合に、雇用・労働面においてどのような政策対応が必要となるのか、また、その効果的実施のためには、現場の取組も含めてどのような配慮が必要なのか等に関して、政策研究の面からも知見を蓄積しつつ政策方向と課題を摘出しようとするものである。

今回は、資料シリーズNo.111の継続作業として、主に平成25年4月以降(~平成28年3月頃までを中心)における震災からの復旧・復興過程について、雇用・労働面に関連するものを中心に、研究目的に資することを念頭において整理し、記録したものである。

研究の方法

文献及び一般公表資料に基づき復旧・復興過程の流れを整理。特に被災3県地方紙(岩手日報、河北新報、福島民報)の記事及び関満博著「東日本大震災と地域産業復興」における個別企業の報告を整理し、大きく依拠している。

主な事実発見

今回の資料シリーズにおいては、一般的な統計データやこの間に講じられた政策施策を概観・整理するとともに、それを踏まえて、復旧・復興過程に関するおおまかな段階区分を念頭におきながら、復旧・復興の流れを抽出し、それをフレームワークとして上述の記事・資料における事象を整理して「記録」とした。

被災者の住宅再建を軸としたフレームワークは図表1、被災した(地元の)中小企業における事業の復旧・復興を軸としたフレームワークは図表2のようにそれぞれ整理された。

被災中小企業等の復旧・復興過程については、被災状況などそれぞれの置かれた状況の下で、① 従前地で再建、② 従前地近くで再建、③ 避難先等県を越えて再建、④ 仮設施設での再開を経由して従前地に戻り再開、⑤ 原発避難指示解除前に従前地へ帰還し再開、⑥従業員を社内他事業所へ配転し、従業員が配転先に定着、⑦ 再建を模索したが結局のところ事業撤退、などといった多様なケースを整理できた。

図表1 復旧・復興過程をみる視点フレームワーク ①被災者の住宅再建

図表1画像

(注)「自宅整備」には、自宅の再建、新築、購入や当面賃貸住宅に居住することなどを含む。

図表2 復旧・復興過程をみる視点フレームワーク ②(地元の)中小企業

図表1画像

政策的インプリケーション

多様な様相を呈する復旧・復興過程に対して、政策実施上の論理を整理しつつ、多様性に的確に対応した対応が求められる。

政策への貢献

東日本大震災という巨大規模の自然災害及び原発事故からの復旧・復興過程において生起したことを整理する中で、中長期的な視点で取り得る政策、施策の検討のための基礎資料を提供する。また、「風化」が懸念される中で、こうした報告を出すこと自体に政策的意義があるとも考えられる。

本文

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研究の区分

プロジェクト研究「非正規労働者施策等戦略的労働・雇用政策のあり方に関する調査研究
横断的研究「東日本大震災からの復旧・復興と雇用・労働に関するJILPT調査研究プロジェクト」(震災記録プロジェクト)

研究期間

平成25~28年度

執筆担当者

浅尾 裕
労働政策研究・研修機構 特任研究員

関連の研究成果

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