調査シリーズNo.146
雇用促進税制に関するアンケート調査結果

平成27年 9月11日

概要

研究の目的

雇用促進税制は、平成23年度(2011年度)から3年間の時限措置として創設され、平成26年度(2014年度)から2年間、実施が延長された。同税制が適用された企業の特徴などについて分析し、労働市場にどの程度の効果があったのかを明らかにする。

研究の方法

アンケート調査を実施した。アンケート調査の方法は、郵送による調査票の配布・回収。雇用促進税制の適用を受けるために、2013年4月~10月に雇用促進計画をハローワークに提出し、受け付けられた企業のなかから厚生労働省が抽出した企業8,208社を対象とした。調査実施時期は、2014 年11月10日~11月26日。有効回収数:2,516 件(有効回収率:30.6%)。

主な事実発見

  1. 雇用促進税制の適用状況

    雇用促進計画の終了後に雇用促進税制の適用を受けたかどうかを尋ねると、「受けた」が22.1%、「受けなかった」が71.2%であった。企業規模別にみると、「受けた」とする割合が「5人未満」で5.1%、「5~9人」で13.0%など、特に小さい規模の企業で適用を「受けた」とする割合が低い。

  2. 控除税額

    雇用促進税制の適用を受けた企業(n=555)に、控除された税額を尋ねると、回答した企業(n=409)の平均額は1,631,562.3円で、中央値は、532,128.0円となっている。

  3. 企業への適用効果

    (1)適用を受けた企業ほど、計画終了後の雇用保険一般被雇用者数が増加

    雇用促進計画終了時の雇用保険一般被保険者の増加数について、雇用促進税制の適用状況別にみると、増加数の平均(0人は除き算出)は適用を「受けた」企業で21.0人、「受けなかった」企業で11.0人となり、両者の間で差がみられた。

    (2)適用を受けた企業ほど、新規に労働者を採用し、かつ定着率が高い

    雇用促進計画の適用年度中に、労働者を新規採用した割合を雇用促進税制の適用状況別にみると、雇用促進税制の適用を「受けた」企業では94.2%が採用を行い、「受けなかった」企業では「採用しなかった」が19.0%にのぼった(図表1)。

    図表1 雇用促進税制の適用状況別にみた適用年度中の労働者の新規採用(単位:%)

    図表1画像

    適用年度中に採用した労働者の定着率(適用年度中に採用した労働者総数を100として、現在も在籍している労働者の割合)をみると、適用を「受けた」企業の定着率の平均は84.3%、「受けなかった」企業では75.4%で、「受けた」企業の方が労働者の定着率が高くなっている。

    (3)適用を受けた企業の3割が当初の採用予定を拡大

    雇用促進税制を活用することによって、採用計画などに変化・影響があったかどうかを尋ねた回答結果について、雇用促進税制の適用状況別にみると(複数回答)、適用を「受けた」企業では30.1%が「当初の採用予定人数より多く採用した」と回答した(図表2)。変化・影響に関する選択肢を1つでも選んだ「何らかの変化・影響があった企業」割合を算出すると、41.3%であった。

    図表2 適用の状況別にみた、雇用促進税制を活用することによる採用計画などへの影響・変化(複数回答)(単位:%)

    図表2画像

  4. 今後の利用希望

    今後も雇用促進税制を利用したいかについて、雇用促進税制の適用状況別にみると、適用を「受けた」企業では92.1%が「したい」と回答した。

政策的インプリケーション

雇用促進税制の適用を受けた企業の約3割が、当初の予定よりも採用を拡大させるなど、企業の採用活動に対する同税制の一定の影響が観察できた。また、制度活用の前歴がある企業ほど、今後の活用意欲も高いことが明らかになっており、今後も同種の施策が実施される場合、制度へのアクセスのしやすさや、制度周知の充実を図ることで、より一層の制度活用を導き出せる可能性がある。

政策への貢献

今後の職業安定行政に関する政策立案の基礎資料として活用される。

本文

全文がスムーズに表示しない場合は下記からご参照をお願いします。

研究の区分

プロジェクト研究「非正規労働者施策等戦略的労働・雇用政策のあり方に関する調査研究」

サブテーマ「総合的労働・雇用政策プロジェクト」

研究期間

平成26年度

調査担当者

新井 栄三
労働政策研究・研修機構主任調査員
荒川 創太
労働政策研究・研修機構主任調査員補佐

入手方法等

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問い合わせ先

内容について
研究調整部 研究調整課 03(5991)5104
ご購入について
成果普及課 03(5903)6263

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