労働政策研究報告書No.22
日本の長時間労働・不払い労働時間の実態と実証分析
概要
本研究では全国 3,000人の雇用者を対象にアンケート調査を行い、わが国の長時間労働・不払い労働時間の実態を把握するとともに、長時間労働が労働者の健康や意識に与える影響の程度、どのような労働者に不払い労働時間が生じているのかを中心に分析しました。主な調査結果は以下のとおりです。
<労働時間の実態>
1)超過労働時間は若い層の長さが目立つが、 40歳代でもかなり長い。月間 50時間以上の超過労働を行う人の割合は 21.3%にのぼる。超過労働を行う理由で最も多いのは「そもそも所定労働時間内では片づかない仕事量だから」(61.3%)。
2)不払い労働時間も 30歳代を中心に若い層で目立ち、職種別には「営業・販売、接客」や「専門職」、産業別には「卸・小売、飲食店」、「サービス業」、「金融・保険業、不動産業」、「公務」などで長い。
3)超過勤務手当が支払われない理由は「自分が納得する成果を出すための残業で手当を申請していない」( 23.2%)、「申請しても予算制約で支払われない」( 19.4%)、「残業時間に関係なく定額で支給される」( 19.0%)など。
<仕事や職場の状況、健康意識>
1)「一日の仕事でぐったりと疲れて、退社後は何もやる気になれない」という設問に「いつもそうだ」が 14.7%、「しばしばある」が 27.8%と 4割を超える人が極度の疲労感を感じている。
2)「今のような調子で仕事や生活を続けたら、健康を害するのではないか」に「よくそう思う」が 17.8%、「ときどきそう思う」が 39.3%と 6割近い人が健康に不安感。
< 職場の取り組み、長時間労働対策>
1)勤務先で長時間労働や健康管理のためにとられている対策は、「実労働時間の把握と長時間労働の者やその上司への注意・助言」( 30.0%)、「ノー残業デーの実施」( 27.5%)、「退勤時刻の際の終業の呼びかけ」( 24.2%)、「定期検診以外での長時間労働やストレスに関するカウンセリング」( 21.0%)など。
2)長時間労働やサービス残業をなくすための方法で重要だと思うものは「働く者それぞれがダラダラと残業しないように気をつける」( 84.1%)、「残業手当などを働いた分だけちゃんと払う」( 79.2%)、「新しく人を雇う」( 58.9%)など。
本文
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研究期間
平成16年度
執筆担当者
- 小倉 一哉
- 労働政策研究・研修機構 副主任研究員
- 藤本 隆史
- 労働政策研究・研修機構 アシスタントフェロー
データ・アーカイブ
本調査のデータが収録されています(アーカイブNo.31)。
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