7500万人へ職業技能訓練給付金を支給
 ―「職業技能訓練 第14次5カ年計画」

カテゴリー:雇用・失業問題人材育成・職業能力開発

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  • 国別労働トピック:2022年4月

人的資源・社会保障部、教育部、発展改革委員会、財務部は、2021年12月に「職業技能訓練 第14次五カ年計画」(以下:「計画」)(注1)を発表した。

第14次5カ年計画と目標

第13次5カ年計画では、約1億人が給付金付き職業技能訓練を受けたが、今回の「計画」では、2025年までの5つの職業技能訓練目標について具体的数値が示された(表1)。

表1:第14次五ヵ年計画における職業技能訓練主要目標
主要目標 2021~2025年 属性
1. 給付金付き職業技能訓練人数 (延べ人数、万人) ≧7500 予期性
2. うち:農民工職業訓練参加数 (延べ人数、万人) ≧3000 予期性
3. 専門技術者職業資格証書の新規取得者数 (万人) ≧4000 予期性
4. 新規技能ハイレベル人材(上級職以上の職業資格証書または職業技能等級証書の取得人数) (延べ人数、万人) ≧800 予期性
5. 新たな公共職業訓練施設数(個) 200 予期性

注:予期性とは国が期待する数値

技能人材の職業訓練にはいくつかの新しい課題がある。技能労働者が産業モデルの変化や高度化に適応できていないこともそのひとつである。さらに、「雇用難」と「採用難」が共にあることで、需給のミスマッチが深刻化しており、基礎職業訓練能力が弱く、訓練供給能力が不十分なため、訓練の適切性と実用性をさらに高める必要がある。

今回の改革では、2025年までの5年間で、以下の5つの改善を目標とする。

第1に、終身職業技能訓練体制を改善し、企業従業員を中心に技能向上訓練を積極的に実施する。また、若年者(大学生と専門学校およびその他の若者)、退役軍人、農村の余剰労働力、女性、受刑者、強制隔離薬物依存症治療者、生活困難者、身体障がい者などの特定のグループを対象とした就職技能訓練を強化する。さらに、起業訓練(注2)や新業態就職訓練を強化する。

第2に、職業技能訓練の促進のため、公的職業訓練機関だけではなく、専門学校や企業が訓練を提供できるよう奨励する。具体的には民間の職業訓練施設の構築やオンライン職業訓練プラットフォームの発展を支援する。

第3に、職業技能訓練の質の改善とデジタル技能訓練など経済社会ニーズとの適合を促進し、訓練のための資金を効果的に管理する。

第4に、職業技能訓練の標準化において、テクノロジーと学習を統合する技能人材の訓練に焦点を合わせ、訓練資料、教育資源、教育スタッフ、情報開発を改善する。

第5に、技能人材のキャリア開発ルートをさらに拡大し、技能人材に対する待遇、インセンティブ、福利厚生などの新たな労働条件を構築する。

技能人材のキャリア開発支援

最近の若年層は、技能人材になることに消極的だが、それは、技能人材の職務評価や将来の展望に関する魅力の欠如が要因である。そこで、「計画」では、技能人材のキャリア開発の改善を目標としている。技能人材のキャリアを阻む「ガラスの天井」を打ち破るため、垂直的なレベル別職業資格評価の形成と水平的標準化により、技能人材や専門技術人材の幅広い分野での活躍の可能性を提言している。また、技能人材評価システムを改善する。仕事の成果に重点を置きつつ、匠の心や職業道徳の育成を重視する評価システムを導入する。評価結果は技能人材の雇用、賃金、待遇などに対応させる。そして、技能人材の待遇改善を行い、健全な賃金分配制度を構築するように企業を導く。賃上げの仕組みの構築を促し、技能人材のインセンティブ策を検討するように企業を指導する。さらに、技能人材への表彰・奨励制度を改善し、特に、ハイレベル技能人材に対する報奨制度を改善する。また、その配偶者・子女も当該地域の公共就職、教育、入居などの保障サービスを享受できるよう推進する。

参考資料

  • 人的資源・社会保障部 ウェブサイト等

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