2020年までに5000万人以上の雇用を創出

カテゴリー:雇用・失業問題人材育成・職業能力開発

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  • 国別労働トピック:2017年3月

国務院(政府)は2月6日、第13次五カ年計画(2016~20年、以下:「五カ年計画」)中の雇用政策の数値目標等を定めた「雇用促進計画」を発表した。都市部で5000万人以上の雇用を創出し、失業率(都市部登録失業率)を5%以下にすることや、就業促進により1000万人を貧困から脱却させることなどを掲げている。

都市部失業率を5%以下に

国家統計局によると、2011~2015年の都市部失業率は4%台で推移している。五カ年計画の期間中には赤字国有企業の人員削減(注1)を計画しており、失業率の高まりが懸念されている。さらに、現在、経済成長の停滞などを背景に、大卒者の就職難や農民工(農村からの出稼ぎ労働者)の雇用不安が社会的な問題になっている。

政府は重厚長大産業からサービス産業への構造転換、新興産業の育成(注2)、創業・事業革新の推進、インターネットビジネスの普及などによる新規雇用の創出、労働者の職種転換・能力向上、就職支援・マッチング機能の強化、をはかることを提唱。都市部で5000万人以上の雇用を創出し、失業率を5%以内に抑制する方針を示した。

なお、3月5日に開かれた全国人民代表大会(中国の国会に当たる)の「政府活動報告」で、李克強首相は五カ年計画初年度の2016年に1314万人の雇用を創出したと発表。2017年も1100万人以上の新規雇用を生み出すとしている。

貧困層の解消に向けて

五カ年計画では全国で7000万人にのぼる貧困層の解消を唱えている。その方策として、貧困地域の産業振興(3000万人)や、貧困地域からの転居(1000万人)、社会保障の確保(2000万人)などとともに、職業訓練による労働者の職種転換(1000万人)をあげている(括弧内はそれぞれの方策により解消される貧困人口の目標値)。「雇用促進計画」では就業促進により1000万人を貧困から脱却させる目標を掲げており、五カ年計画における職業訓練などの対策を念頭に置いたものとみられる。

職業能力の向上が重要課題に

「雇用促進計画」は、労働者の就業あるいは起業の意欲を向上させるため、人材育成の重要性を強調している。まず、生産年齢人口の平均就学年数を五カ年計画開始前の10.23年から10.8年に延ばし、このうち新規就業者の平均就学年数を13.5年にする目標を設定。そのうえで、全国の技能労働者数を約1億7000万人、このうち「高度技能人材」を5500万人にするといった目標を設定した。また、貧困家庭の子女、中卒・高卒者、農民工、失業者、転職者、退役軍人、障がい者に対する無料職業訓練、赤字国有企業を想定した「過剰生産能力解消企業」の従業員、高等教育機関卒業者、新世代農民工(注3)などに対する特別教育訓練の実施も計画する。

このほか「雇用促進計画」は労働契約の締結率を90%以上に保つこと、労働者の権利保護を強化すること、賃金を合理的に上げていくこと、なども盛り込んでいる。

参考資料

  • 中広網、人民網、国家統計局、人力資源・社会保障部、中国政府網、中国網

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