青年就業状況調査報告

カテゴリー:若年者雇用

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  • 国別労働トピック:2005年7月

最近行われた青年の就業状況調査報告により、青年の失業率が社会の平均的水準を上回っていること、政府部門と国有企業が青年の就職先として一番人気があること、20%の青年が自分で起業することを希望していることが分かった。

この調査は中国青年連合会、労働社会保障部労働科学研究所が共同で実施したもの。アンケートによるでサンプリング調査で、教育状況、労働力市場状況、就職者の全体的状況、自ら起業する場合に直面する問題等を明らかにしている。今回の調査では、大連、天津、長沙、柳州の四都市の7000の青年220の企業がサンプルとして選択された。調査対象は15歳から29歳までの青年とその雇用主であった。

調査結果によれば、政府部門、国有企業または自ら起業した企業で働くことが大多数の青年の就職の理想である。調査対象となった青年の21%と22%が最も理想的な勤務先として政府部門と国有企業を挙げ、20%が自分で起業することを希望していた。一部の青年は民間企業や多国籍企業で働くことを希望していた。

また、就職している青年は全般的に現在の仕事に満足しており、大部分が転職を考えていないことが分かった。すなわち、就職している青年が41%が転職を望んでおらず、28%の青年はどちらともいえないと回答した。しかし、現在青年が就職した仕事の質は相対的に低く、大部分の青年は保障がなく、仕事が不安定で、勤務時間も長く、労働による収入は少ないことも同調査は明らかにしている。この傾向は低年齢の青年や農村の青年により顕著であった。

調査によると、青年が最も好む業界は、情報通信、コンピュータサービス、ソフトウェア業および金融業に集中していた。調査対象者の21%と12%がそれぞれこの二つの業界をもっとも理想的な業界として挙げている。製造業、卸売業と小売業、公共管理等を代表とする伝統的な製造業、サービス業が青年の第2の理想的業界であり、住宅、飲食、衛生、社会保障、福利といった業界を選択する青年は比較的少ない。

調査結果は、膨大な労働力人口が就業に極めて大きな圧力を加えていることを指摘している。中国では労働人口が毎年新たに2000万人前後増えている。そのうち、高等教育に進むものを除くと、毎年就職を必要とする新たな労働人口は1000万から1600万の間となる。青年は勤務経験もなく、労働力市場における競争力は弱い。そのため、労働力市場が供給過多状況にある現在、青年の就職の問題はますます深刻となっており、それが平均を上回る失業率という形で表れている。

政府は、大学生の就職支援政策として次の5本の柱を提示し推進している。1)大学卒業生に対し、基層や苦労の多い地域で働くよう奨励し、都市のコミュニティや農村の郷鎮の基層単位を充実させる。その実施に向け政府は「大学生による西部へのボランティアサービス計画」を策定し、大学卒業生の中から志願者を募り、西部の貧困県の郷鎮レベルの教育、衛生、農業技術、貧困扶助等の勤務先で2年間ボランティアサービスに当たるように奨励する。2)各種企業事業団体特に中小企業と民間企業に対して、高等教育機関の卒業生を採用するよう奨励する。3)高等教育機関の卒業生に対して、自ら起業すること、就職について臨機応変に考えることを奨励する。そのため税金面での優遇や小額貸与を行い、起業研修、開業指導、政策コンサルティング、プロジェクト論証、追跡指導といったサービスを行う。4)就職指導とサービスを確実に行う。大学生就職サービス情報ネットワークを構築、整備し、職業の紹介、職業指導といったサービスを提供する。5)「高等職業専門学校(大学レベルの専門学校)卒業生職業資格研修プロジェクト」を実施し、研修を必要とする高等職業専門学校の卒業生に対して職業技能訓練と技能検定を実施する。

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