ホワイトカラー労組、組合員に補完的失業保険を提供
地方自治体労働者労働組合(SKTF)は、大卒専門技術労働者労組連合(SACO)や民間事務技術系職員労働組合(SIF)と同じく、組合員に対し民間の補完的な失業保険を提供することになる。
失業者の状況改善に向けた戦略は労働組合によって異なる。SACOと同じくSKTFが組合員に提供している補完的な失業保険には、組合員が任意に加入する。それに対し、財政事情がSKTFより良いSIFは補完的な団体保険に加入し、月間所得2万~3万クローネの80%を保障している(公的失業保険は月2万クローネが上限)。SIFは月3万~4万クローネの所得者向けに個人保険も提供している。
SACOの補完的な失業保険は個人保険で、月間所得2万~5万クローネの80%を保障している。これまでにSACOの組合員9000人がこの保険に加入している。
SKTFの組合員12万人のうち5万人は、所得が任意加入の公的な団体失業保険で保障される2万クローネの上限を超えているため、補完的な制度が必要と考えられている。2002年9月15日の選挙でどの政党が政権につこうと、公的失業保険の上限が引き上げられる見込みは差しあたりない。SIFの場合、7万5000人近い組合員が月2万クローネ以上の所得を得ている。
銀行と保険会社のホワイトカラー労働組合でも状況は似ている。少なくとも金融労働組合が組織する銀行従業員の場合も、補完的個人保険を積極的に準備している。
社会民主労働党は目下、厳しい選挙戦のさなかで、傷病手当(所得の80%)の所得上限を現行の2万3000クローネから2003年には3万2000クローネに引き上げると約束している。だが、失業手当を同水準まで引き上げる約束はしていない。失業手当の所得上限は今年初めに1万7000クローネ弱から2万クローネに引き上げられた。
失業手当と傷病手当の上限を同じにすべきだというのが組合の方針である。この2つの手当と早期退職手当を人々がしばしば代替的に利用していることがますます明白になりつつあるからだ。
1990年代半ばは失業率が非常に高かったが(顕在失業率は8%強)、病気欠勤者の人数は、完全雇用状態にあった1980年代後半に比べ大幅に減少していた。1990年代末に向けて、また2000年から2002年にかけて雇用が増加し、病気欠勤率は1980年代以前の水準にまで増加している。
9月の総選挙後に発足する新政府が即座に取り組むべき課題は、失業保険と傷病手当の支給条件を調整して、余分な支出を抑制することである。また、雇用率を高めることに重点を置く必要がある。そのためにはたとえば、コストをある保険から別の保険に転嫁することに時間や労力を費やすのではなく、リハビリテーションを活発に行い、フルタイムで働くことができない場合にはパート労働者数として働けるようにする。また、早期退職を促して、長期病気欠勤に伴う多額の保険コストを削減する。そうした「改革」を断行する姿勢を示せば、長期病気療養者の多くがおそらく労働市場に戻り、労働市場政策の対象者となるだろう。
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