建設部門の外国人労働者、削減へ
労働力省は3月13日、建設現場で働く外国人労働者の採用枠を縮小すると発表した。6月1日から実施する。建設部門の生産性向上を促すために、低賃金の外国人労働者への依存を制限する。2010年までに1999年の水準の半分に減らす。
シンガポールは人口が少ないために、産業誘致等で生じた労働力不足には、大量の外国人労働者を受け入れることで対応してきた。1999年時点で、労働力人口の5分の1に当たる約50万人が外国人労働者であるといわれている。政府は当初から外国人労働者に過度に依存するのは避けたい意向を示しており、これまでも外国人労働力の需給を独自の方法でコントロールしてきた(後述)。
とくに建設部門では外国人労働者に対する依存度が高かいことから、98年4月にプロジェクトのタイプと規模に応じた採用枠(Man Year Entitlement = MYE)を導入し、以後毎年、MYEを基準にして採用枠を縮小してきた(伝統的な労働力供給国であるマレーシアは除く)。今回の措置も同制度にもとづくもので、MYE基準の65~80%まで採用枠を縮小する方針だ。
具体的に見ると、ビルディング・プロジェクトの場合、1000万Sドル以下ではMYE基準の65%に、1000万Sドル超では同60%に、縮小される。またアップグレード・プロジェクトの場合、MYE基準の70%に、シビル・エンジニアリング・プロジェクトの場合、同80%に、それぞれ縮小される。
なお、去年までの実績については、99年はMYE基準の100~90%に、00年は同75~90%に、01年は同70~85%に、それぞれ縮小されてきた。
今回の措置について、シンガポール建設請負協会(Scal)は、労働力不足をさらに深刻化させると懸念を表明している。代わりとなるべきシンガポール人やマレーシア人は、建設労働に就きたがらないうえに、採用できたとしても、賃金は外国人労働者の2~3倍であるためだ。
労働力省は、建設部門の外国人労働者については、今後も数を減らしていく方針で、2005年までに1999年時の70%に、2010年までには同50%に減らすとしている。
外国人労働力の需給コントロール
シンガポールでは、外国人労働力の需給を、「依存率」と「賦課金」という2つの手段でコントロールしてきた。
依存率とは、就労者数に占める外国人の割合を産業別に設定したものであり、賦課金(Levy)とは、いわば外国人労働者の採用に対する課税である。いずれも経済状況に応じて労働力省が適宜変更している。現在の依存率と賦課金は下記のとおり。
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