台湾、外国人労働者の最低賃金を引き下げ、タイ人労働者の反対運動

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年3月

タイにとって台湾は最大の海外出稼ぎ労働者受け入れ国となっているが、台湾経済の不況によりタイ人労働者は解雇の危機に直面している。タイの農村部(特に東北部)経済及びタイ経済を支えてきたという側面を持つ海外出稼ぎ者からの仕送りは、非常に重要な意味合いを持っている。

受入国台湾の経済不況

現在台湾には合法的な外国人労働者が約30万人滞在しており、最低賃金月額は1万5840元(約2万バーツ)となっていたが、2001年11月に台湾政府は食費補助を廃止することで最賃を25%引き下げることを発表した。この引き下げによって、総額100億米ドルの経費削減が可能となる。

しかし、台湾への出稼ぎ労働者を最も多く輩出しているタイとインドネシア政府は、この引き下げ方針を受け入れないことと、引き下げを行うならば新規出稼ぎ就労を停止すると発表した。

台湾の労働委員会はこれら2カ国の反応に対して「政府の決定を受け入れられない場合は、2002年1月1日から、タイとインドネシアからの労働者受け入れを凍結せざるを得ない」と回答している。

台湾政府によると、台湾に滞在する外国人労働者は31万2279人(2001年11月時点)。タイ人は外国人労働者全体の42.3%、約13万630人、インドネシアと合わせると22万3680人の大集団となっている。残りはフィリピン、ベトナム、マレーシアなど東南アジアの国々からの出稼ぎ労働者で構成されている。

そのため、同委員会では、タイとインドネシアの労働者が雇用できなくとも、その他の東南アジアの国々や北朝鮮、インド、モンゴル、スリランカ、ミャンマーから受け入れることも検討していることを明らかにした。

台湾政府は向こう4年間で、6万人にまで外国人労働者を削減していく方針を打ち出している。しかし、今のところ1万人しか削減できておらず、目標達成は困難な見通しだ。

悪質な斡旋業者も後を絶たず

法外な斡旋料を巡るトラブルも続出している。タイ政府は、出稼ぎ斡旋業者が労働者から斡旋料を受け取る際には、最高4万5000バーツまでしか徴収してはならないと定めているが、出稼ぎ契約が不法に行われている場合には、その3~5倍の斡旋料を支払うケースもあるということで、その取締りを強化している。

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