2カ月連続で失業者数が増加

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年10月

7月31日に発表された雇用省の統計によると、8500人と数は少ないが、6月の失業者数が増加した。5月に続き2カ月連続の上昇だ。登録済みの失業者数は5月と比較すると、季節調整済みの数値で0.4%増加して、207万7600人となった。

この増加はまだ-11%という年間の減少幅に影響を与えるほどではないし、月間の変動幅もまだわずかでしかないが、新たな傾向が根を下ろし始めているようにも見える。増加に転じる前に失業改善の減速化が何カ月も続いていたことを考えると、5月に記録された5500人の求職者の増加は警報を鳴らしていたのかもしれない。したがって、5月と6月に記録された失業の悪化は一時的な現象ではなく、傾向の反転を意味している可能性もある。もう1つの指標である国際労働事務局(ILO)の定義に基づいて計算された失業率も前月の8.7%から8.8%へ上昇した。

雇用省筋は数字の悪化を認めながらも、対前月比で-0.5%を記録した第3の指標(月間78時間以上の短時間労働を行う求職者を含む)は前月の増加分を上回る減少幅が見られたと主張する。また、女性の労働市場がわずかながら改善されているように、女性は今回の失業増によって男性ほど影響を受けていないし、長期失業者の数も横這いで、増加はしていないと強調する(65万4900人;年間では-21.1%)。

もうひとつの明るい材料が経済的理由に基づく解雇の減少である(対前月比で-5.7%)。代行職務や有期雇用契約が終了したために国立職業紹介所(ANPE)へ登録した失業者の数も同様に減少している。ANPEからの登録抹消者は数的にはほとんど増えていないが、再就職者が減少した(6月に-0.4%)一方で、見習いに参加する者の数が増加した(+4.1%)。

雇用省は、欧州連合全体の-0.7ポイント、ドイツの-0.1ポイント、オランダの-0.8ポイント、英国の-0.7ポイントに対して、フランスは失業率を1.1ポイント低下させたと過去1年間の実績を強調しつつも、「おそらく失業の改善が停滞期に入った」と認めている。そして、フランスの工業生産が低下する中、「6月の失業増の1つの理由として、米国やドイツの景気の低迷など、国際的な文脈を考えないわけにいかない」とも述べた。ただし、「例年、7月と8月の失業統計は不安定な動きを示すので、傾向を適切に評価するには9月の数字を待つ」必要があるだろう。

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