非典型従業員、有休休暇権を獲得

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年9月

欧州司法裁判所は2001年6月26日、いわゆる非典型従業員を有給休暇権の対象者から除外しているイギリスの「労働時間規則」を違法とする裁定を下した。これにより英政府は、最低4週間の年次有給休暇の付与を求めているEU労働時間指令に沿って現行法を改正しなければならない。政府は同日、法改正に向けて早速協議に入ることを表明した。

英政府は、EU労働時間指令を国内法化するにあたり(1998年10月1日「労働時間規則」として発効、本誌1998年6、12月号参照)、4週間の年次有給休暇の付与について、同一の使用者に連続13週以上雇用された者に限定した。そのため教師、清掃人、メディア関係労働者など数百万人の自由契約者や短期契約者などのいわゆる非典型従業員は、同権利を享受できないでいた。

こうした英政府の措置に対し、欧州司法裁判所は今回、有給休暇権は共同体法によってすべての労働者に付与された社会的権利であり、したがって英国の労働時間規則は共同体法に違反するとの裁定を下した。

今回訴えを起こしていたのは、カメラマン、特殊効果技術者、編集者、メイキャップアーティストなどメディア関係労働者3万人を代表する労組ベクトゥ(Bectu = Broadcasting Entertainment Cinematographic and Theatre Union)。「13週ルール」は共同体法に違反するとして英国高等裁判所に訴えていたが、高等裁判所は欧州司法裁判所に裁定を仰いでいた。

ベクトゥの弁護士は、英政府が同規則を改正しない限り、年休をもらっていない労働者は政府に補償を求めることができるとし、早急に改正するよう訴えた。

裁定が下された26日、アラン・ジョンソン雇用関係担当大臣は、使用者は今後、労働者を雇用した場合、初年度については1カ月ごとに2日の有給休暇を付与しなければならなくなるだろうと、早急に法改正の作業にとりかかる意向を表明した。

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