上海の労働者派遣、月給の下限は580元

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年8月

月給が580元を下回った場合、労働組合の職業斡旋組織は、事業主に労働者の紹介を拒否する。上海市労働組合は、2001年1月から、労働者の利益を守るため、このような派遣労働者の最低報酬基準を確定した。

上海市労働組合が確定したこの基準の内容は、一週間の労働時間を40時間として、月間報酬の最低基準は580元とする。この基準の有効期限は半年間で、下半期の基準は年の半ばで再設定されることになっている。

中国は、国有企業の組織再編に伴い、リストラ労働者が溢れており、上海のような大都市でも労働力の供給は需要を大幅に上回っている。労働市場は完全に買い手市場となっているため、再就職や派遣で仕事を得た労働者は報酬面で差別を受けることがしばしば発生している。上海市労働組合は、事業主が労働者の賃金を圧迫することを防ぐために、報酬最低基準を打ち出した。

上海市労働組合の副主席は、市場経済に移行する中国社会では、企業の賃金決定はかつての政府による指導から、次第に市場メカニズムによる自主調整に変わりつつあると認めた上で、労働力供給が需要を大きく上回る現状の下では、市場の需給関係にすべて任せると、労働者の利益を損ないかねないとの標識を示した。さらに、この労組の責任者は、市場経済の中では、賃金決定に影響を与えるのは市場と政府以外に、労働組合も重要な要素になると指摘し、今後、政府は、最低賃金や賃金のガイドラインを制定し、労働者を代表して、労働組合が事業主と団体協議の形を通じて、賃金交渉を行うことは、賃金決定の重要な要素になると強調した。

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