退職年金制度を守るために全国でデモ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年4月

1月25日、使用者団体フランス企業運動(MEDEF)が補足退職年金制度の見直しを求めたことに抗議する目的で組織されたデモは、フランス全国で公務員と民間労働者を合わせて30万人という大量動員に成功した。このため、それから数時間後に、MEDEFのセリエール会長は戦術の大転換を決意せざるをえなかった。1月26日、フランスアンテールのインタビューに対して、同会長は「デモの堂々たる行進、深い懸念を示しながら行進する人々のその真剣さ、その荘厳さ、その威厳に圧倒された」と答えるとともに、「40年間保険料を納めた数千人の労働者が60歳以前に引退できないのはひどいことだ」と述べて、「任意」退職の議論に関する民主労働同盟(CFDT)の主張に支持を示した。

長年にわたって前例のないことだが、パリ、マルセイユ、リール、トゥルーズですべての労働団体が統一戦線を形成した。民間部門労働者の参加が異例なほど多かったため、MEDEFは、公務員と民間労働者の利害の対立を論拠に打ち立てたその中心的な主張を取り下げざるをえなくなった。この問題ではMEDEF内も決して1枚岩とは言えないが、労働側からの激しい批判に曝されたことで、経営側はセリエール会長が「革主義的組合」位置づけるCFDTとの交渉に活路を求めたいと考えている。また、MEDEFは、国に50歳以降の早期退職を認めるように働きかける一方、定年を65歳へ引き上げるべきだと提案しているが、ジョスパン首相は、2つの提案が矛盾していると指摘している。

さらに、MEDEFは12月21日の補足退職年金に関する交渉が不調に終わったことで、2000年12月31日以降は金融機構協会(ASF)(60歳からの退職年金の追加費用を資金提供するための団体)がもはや法的に存在しないのだから、企業は分担金を支払う義務がないと主張している。

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