EU、年金制度改革の実行を警告

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年2月

EUは、人口の高齢化にともなう問題の深刻さに気づき始めた。中でもスペインは、最も先行きが悲観される国で、経済政策委員会の報告によると、早急に年金制度改革に手をつけなければ、GDP に占める年金の割合が8ポイント増し、欧州最高の17.7%に達し、財政累積赤字に深刻な影響を与えるとしている。

これは、リスボン・サミットでの結論を受けて行われた研究である。この報告では、現在欧州各国が採用している年金制度を適用したものと、リスボン・サミットにおいて設定された2010年までの雇用創出目的が達成されると想定したものとの、2通りのシミュレーションを行っている。

こうした問題に対する対策として、EU内では2つの傾向が見られる。1つは、女性や移民労働者の労働市場参入など雇用増によって対応しようというもので、アナ・ディアマントポウロウ社会問題委員はこの方向を指示している。もう1つは、現行の年金制度を早急に改正すべきとするものである。

現時点のスペインの出生率(妊娠・出産が可能な年齢の女性1人に対し1.1人)や、厳しい制限だらけの移民政策を見ると、労働者数に対する年金受給者数の割合が今後数十年の間にかなりの割合で増え続けることは間違いなさそうである。スペインでは公的年金制度の長期的維持を保証する目的で、議会の全政党、労組、雇用者団体の間でトレド協定が結ばれている。これに加え、今後はEUの分析も考慮に加えなければならないだろう。

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