アマゾン・ドット・コムで組合結成の動き

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年2月

いわゆるニュー・エコノミー会社の代表格であるアマゾン・ドット・コム社は、書籍販売等をインターネット上で行い、すべての労働者にストック・オプションを与えている。しかし、同社でも、いくつかの労組が、全米各地域で働く同社の顧客サービス係や倉庫係を組織化する動きを見せている。株価低迷によりストック・オプションの価値がなくなり、人員削減も増えつつある現在、労組設立を求める労働者と使用者との攻防が、インターネット関連企業においても見られるようになった。

労使対立による同社の損失が最も大きいと考えられるクリスマス商戦中の2000年11月に、2つの組織化活動が始まった。ワシントン州シアトル市では、30人の顧客サービス係が約400人の顧客サービス係の組織化をめざしており、これに、全米通信労組(CWA)傘下のワシントン技能労働者同盟が、法律や広報上の助言を与えている。また、国際食品・商業労働組合(UFCW)と独立系非営利団体であるプレウィット組織化基金が、ネバダ州からデラウエア州にかけて散在する7配送センターで働いている労働者約5000人の組織化を目指している。

同社経営陣は、何度も社内で会合を開き、労組への対応を協議するなど、組合設立に対し強く抵抗している。同社は、顧客サービス係に対し、次のようなメッセージを転送するよう依頼している。「アマゾン社は従業員にも十分に開かれた会社で、1つのチームとして活動している。しかし、組合のような第三者は、この環境を変えてしまうだろう」。

アマゾン社は、2000年1月に150人を一時解雇した。従業員は現在、雇用保障の強化、賃金引き上げ、強制的な残業の撤廃を求めている。時給10ドルから13ドルの顧客サービス係の多くは、同社の爆発的な成長によって、顧客への電話・メールを処理しきれず、仕事量に比べ報酬が少ないと感じている。また、同社が、低賃金労働者の雇用拡大を進めることによって、現従業員が人員削減されるのではないかとの懸念もつのっている。従業員によると、同社は従業員の声に耳を傾けておらず、組合が必要であると考える者が増えつつある。

連邦労働法によれば、組織化対象の従業員グループの30%が、組合結成への意思を表明すれば、組合結成の是非を問う投票が実施される。ワシントン技能労働者同盟によると、11月中旬に開かれた、組合結成に関する6回の説明会に、75人のシアトル市内の従業員が参加した。しかし、同同盟は、授権カードに署名した従業員の人数については明らかにしていない。

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