失業保険協約に関するデクレの無効を求めて提訴

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年11月

8月29日、フランス企業運動(MEDEF)は、中小企業総連盟(CGPME)および手工業者職業連盟(UPA)と連名で、失業保険に関してオブリ雇用相が発表したデクレ(政令)の無効を求める略式訴状をコンセイユ・デタ(国務院)へ提出した。

6月30日に発表されたこのデクレは、この日に期限切れとなる失業保険協約の延長を可能にするとともに、経営側、民主労働同盟(CFDT)、キリスト教労働者同盟(CFTC)が調印した新協約の検討時間を雇用相へ与えることになった。コンセイユ・デタ弁護士のジャン=ジャック・ガティノー氏によって起草された訴状を根拠づけるために、3つの経営者団体は「デクレが異例の手続きによって決定されており、様々な形式上の欠陥を抱えている」と指摘する。そして、「協約の手続きに不備はなかったので、首相はこのようなデクレを決定する権限はなかった」と断じ、「規制当局は労使当事者が存続を望んでいない期限切れの1997年協約を生き返らせることで、法律違反を犯した」と付け加えている。

この問題で8月28日に執行部を招集したMEDEFはこの後、政府に対する4つの別の訴状を提出する準備に移った。第1の訴状は、雇用相とファビウス経済相によって通告された新協約の承認拒否に関するものである。他の3つは、雇用置き換え手当(ARPE)制度(採用と引き換えに早期退職を認める制度)と転職協定(解雇された労働者に対する援助)に関する措置だけを切り離して承認したことを取り上げている。MEDEFにとって、これらの措置は協約の他の内容と「不可分」だからである。CFDTとCFTCは、政府との対立へ火に油を注がないために、そして失業者への有利な措置を無効にしないために、経営側の手続きに加わることを拒否した。

一方、協約に調印していない労働総同盟(CGT)、労働者の力(FO)、管理職総同盟(CGC)の3団体は、8月28日に会合を開き、調印組合へ新たな提案書を送付した。そこには、「すべての問題を提起し、新しい有効な解決策を検討するために、全員で話し合う必要がある」と書かれていた。この提案書はCFDTとCFTCの労働側だけでなく、経営者団体にも送付された。CFTCは再交渉につながるものでないのであればという条件付きで、この提案に賛成している。CFTCもCFDTと同様、事前に政府から説明を受けたいと考えている。

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