経済は回復基調だが、失業情勢の改善は足踏み

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年11月

ブラジル地理統計資料院の調べによる6大首都圏の公式失業率は、2000年6月に7.4%であったが、7月は7.2%に下がった。また、労組の研究機関DIEESEがまとめたサンパウロ首都圏の失業率は、6、7月ともに18.6%となった。

公式失業率は、同資料院自体が経済回復と同時に大きく減少すると予想していたために、目立つほどの減少はなかったと労働者や経済界を失望させている。企業は、1999年の生産後退時以来抱えていた遊休設備を利用し、雇用増加なしで増産しており、企業家団体の事務局は、少なくとも2000年中は生産増が続かないと新規雇用は行わず、超過勤務と臨時雇用によって対応していくと発表している。これに対し同資料院は、失業から再就職までの平均失業期間が1999年7月に23.3週であったが、2000年7月は19.7週に下がったこと、7月の失業者が前月より3.4%少なかったことから、予想通りに好転していると発表した。しかし、2000年7カ月間の平均失業率7.7%は、前年同期間の7.8%と大差なかった。

経済活動人口の平均所得は、昨年7月比で0.8%増となった。それほどの増加ではないが、同資料院では、過去18カ月間続いたマイナスが始めてプラスに転じたとして評価している。民間では、7月は6月のような期待した雇用が起こらず、経済活動人口の0.2%減少と求職人口が減ったことにより、失業率は、増加せずに維持されていると分析している。

一方、DIEESEによるサンパウロ首都圏の失業率は18.6%となったが、1999年7月の20.1%から低下傾向にあり、この1年間に12万2000人の新規雇用が創出された。それでも7月の失業者は168万5000人であった。再就職までの待機期間は先の資料院の調査とは反対に、6月の47週が7月は50週へ延びた。就労者の手取収入総額は、7月に前月比で3.5%減、給料生活者も3.1%減とそれぞれ後退した。平均給料も3.1%低下して、経済回復傾向にもかかわらず、就労者の所得低下が続いている。

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