農業就労者、10年で20%減少

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

サンパウロ州の各大学の共同研究によると、1995~99年に連邦政府は農地改革によって、37万2866世帯、186万4000人に農地を分配して、史上最大規模の入植事業を行い、農村人口定着を図ったが、90年代の10年間に農村居住人口は約20%減少した。これは、サンパウロ州データ処理財団の年間農村人口就労指数で計算したもので、大人が1日8時間、年間200日労働した場合に1人として計算するもので、都市の就労人口に相当する指数である。この計算では、1990年に764万1000人就労していたものが、99年には618万5000人に減少した。

ブラジル地理統計資料院の資料では、政府の農地改革、家族農業振興政策にもかかわらず、1990年に5200万ヘクタールだった全国の作付面積は、2000年に4999万3000ヘクタールに減少しており、農地分譲効果は見られない。無料に近い価格で政府から農地分譲と営農資金をもらいながら、農地を売り払って逃げる入植者が多い結果である。それでも、農産物生産量は、1990年の7190万トンから2000年には8200万トンへ増加する。肥料・農薬の使用量増加、近代技術の普及、機械化で、農村労働力と植付面積は減少しても、生産量は増加したのである。農村人口の減少は、都市人口増加を意味し、都市に比べて学力が低い農村労働力の流入が、都市の失業人口に合流して、都市の失業問題を悪化させている。

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