造船業で解雇が続く

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年3月

造船業界では1999年12月初旬に400人が解雇された。さらに解雇者が出る可能性が高い。

全国労働組合会議(NTUC)の雇用補助プログラムを統括しているハワジ・ダイピ氏によれば、今回の解雇は、シンガポールの造船業界が進めているリストラの一環である。解雇されたのは、ケッペル・グループのジュロン造船所とセンバワン造船所の J働者で、前者では全従業員の8%にあたる249人が解雇された。今後の解雇者数について同氏は明言を避けたが、業界筋によると400人を上回ることもありうる。

同氏によると、造船業は現在、周辺地域内で競争が激化しており、リストラを余儀なくされている。とくにシンガポールにとって屈指の競争相手となっているのは中国と韓国である。

同氏は、まだ解雇されていない従業員に対して、万一解雇された場合にすぐに再就職できるよう、再訓練を通じて新たな技能を習得しておくことを呼びかけた。業界内では余剰になってしまった職種もあるため、エレクトロニクスやメカニックなど、造船業界外への移動も考慮に入れる必要がある。

NTUC、労働力省、造船組合が共催した就職斡旋フェアには200人以上が参加したが、参加者の多くは現在40歳代で、中学校までの教育しか受けていない。解雇前には月給が約1400S ドル(1Sドル=64.31円)だった。

NTUC労使関係局のサイード局長補佐によると、市場には十分な職があるため失業の心配はないが、これら労働者は今までより約200~300Sドル低い給料を受け入れなくてはならなくなる。「だからこそ私たちは新しい講座や再訓練を受けることを奨励しているのである」。再訓練を受ければ、講座終了にかかる6~8カ月の間、月額500Sドルの手当が給付される。

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