半数の労働者の賃金は8880フラン未満

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年3月

1998年に民間部門および半官半民の企業の常勤労働者は平均すると、税引き前で月額1万3660フラン(1フラン=16.45円)、源泉徴収後(社会保険料、一般社会保障税、および社会保障赤字返済税)の手取りで1万900フランを稼いでいた。しかし、半数は手取額が月額8880フラン未満だし、4分の1は6900フランに満たなかった。

国立統計経済研究所(INSEE)が企業の年次データ申告から引き出したこれらの数字は、1998年に平均購買力が上昇したことも明らかにしている。すなわち、税引き前賃金で+1.1%、手取り賃金で+1.8%である(1997年には+1.5%)。恒常フランで税引き前賃金よりも手取り賃金の上昇率が高かったのは、1946年以来2度目のことである。1997年と同様、1998年も税引き前賃金に対する源泉徴収率の割合が減少し、前年の20.7%から20.2%となったことがその原因だ。源泉徴収率の低下は、社会保険料の4.75ポイントが一般社会保障税の4.1ポイントに置き換えられたためである。この変更によって、平均手取り賃金額の上昇に+1.1ポイントの影響を与えた。しかし、このプラスの影響は補足退職年金保険料の引き上げによって0.7ポイントに圧縮された(上限未満の賃金については+0.25ポイント、上限を超える管理職の場合は+0.625ポイント)。

だが、いまに始まったことではないが、平均賃金はさまざまな不平等を隠してしまっている。たとえば、賃金に関する男女平等はまだまだ達成が難しい。男子は月額1万1625フランの手取り賃金を受け取っているが、女子は9257フランにすぎず、その格差はすべての社会職業カテゴリーにわたっている。とりわけ、高賃金圏が問題だ。

男子の管理職(賃金稼得企業主を含む)が手取りで2万1907フランを受け取っているのに対し、女子管理職は1万6307フランとなっており、格差は25.6%に達する。資格のないブルーカラーの場合、男子の7537フランに対して女子は6552フランで、格差は13%になる。

1998年には、全体の賃金格差もほとんど変わらなかった。管理職全体では月額2万660フランの手取り賃金を手にしていたが、これはホワイトカラーやブルーカラーの賃金の2.5倍に相当する。INSEE によると、管理職の手取り賃金はブルーカラーおよびホワイトカラーの場合よりもやや伸びが鈍いが、この格差は1994年以降ほとんど変わっていないという。

しかし、さまざまな不平等が存続する。1998年に、フルタイム労働者の10%は月額5810フラン未満の手取り賃金しか稼いでいなかったが、上位10%のフルタイム労働者は1万7520フラン以上の手取額を得ていた。したがって、上位10%の労働者は下位10%の労働者の3倍も多く稼いでいたことになる。これは1997年とほぼ同じ割合だが、1980年代の数字をかなり上回っている。この格差は男子の場合により顕著で3.15倍を記録しているが、女子は2.26倍にとどまっている。

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