フォードの賃金交渉妥結、3年間で15%アップ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年2月

国内製造業の賃金交渉にとって目標相場となるフォードの賃金交渉が1999年11月15日、3年間で実質15%アップ(労働時間の短縮分を含む)で妥結、同月末に実施された従業員投票で支持された。

締結された賃金協定の内容は、フォードが組合に提示した案に沿うもので、1)協定期間をこれまでの2年から3年にする、2)1999年11月からの1年間について基本給(週給)を4%引き上げ、2年目については3.25%もしくは「物価上昇率プラス0.5ポイント」のうち高い方の率で、3年目については3.5%もしくは「物価上昇率プラス1ポイント」のうち高い方の率で、それぞれ引き上げる、3)週労働時間を現在の39時間から37.5時間に短縮する――などが柱。

このうち労働時間の短縮については、国内の他産業や他の欧州フォードの労働時間に合わせるべきとの組合のかねてからの要望をフォード側が取り入れ、組合への提示案に盛り込んだ。ダゲナム工場での人種差別騒動が完全に鎮静していないため、従来通りの提案内容では組合や従業員が受け入れに難色を示すと判断したためだ。事実、労使合意案の是非を従業員に問う投票では、賛成が過半数を占めたとはいえ、賛成8016票(54.5%)に対し反対は6696票(45.5%)にのぼった。

組合の交渉担当によれば、週労働時間の1.5時間短縮は4.2%の賃上げに相当し、これを加味すると今回の協定での賃上げ率は3年間で約15%に達する。こうした大幅な引き上げは、高率の賃上げが雇用やインフレに負の影響を及ぼすと警告してきたブラウン蔵相をあからさまに非難するものと経済界では受け止められている。

フォードの賃金協定は、国内製造業の目標相場を形成するとともに、3年の複数年協定方式を望む声がすでに他部門の組合幹部の間からあがっている。

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