ハンガリー/最低賃金水準に関する提言

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年2月

ハンガリーにおいて、2000年1月1日から施行する最低賃金として提案されている額は、労働組合が希望する額に比べると低いが、使用者の意向に比べると高い。1999年1月1日に施行された最低賃金額は、2万2500フォリント(1万1000円相当:原文のまま)である。政府が提案する2000年の最低賃金額は、2万5000フォリント(1万2000円相当)である。労使共にこの金額を受け入れれば、ハンガリーにおける賃金の最低額が11%アップすることになるが、これは、予測されるインフレの上昇率や賃金全体の上昇率よりも高いことになる。

しかし、労使双方共、政府が提案する最低賃金額やその提案の方法に同意はしていない。National Labour Affairs Council(Orsz_os Munka_yi Tan_cs、略称 OMT)の議長によれば、労働組合は、National Labour Affairs Councilに対して最低賃金額を提案する権利を有し、国家レベルの労働問題関係機関であるNational Labour Affairs Councilは、最低賃金額をコンセンサスにより決定しなければならないが、政府は、独断で決定する意向の場合はこの取り決めに従わない。労働組合側は、政府が提案した最低賃金の額を不服とし、より高額を要求している。一方の使用者側は、最低賃金が2万5000フォリントを超えることに合意していない。また、最低賃金の上げ幅がインフレの上昇率を上回るとすると、非熟練労働者の「価格」が熟練労働者よりも上昇速度が早いことになるので、労働者の間でも論争が起こっている。1988年以降の最低賃金額の変遷を、以下の表に示す。

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