ハノイ市の国営企業で急増する不完全就業

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

ハノイ市のグエン・ティ・チャウ・ロン労働政策事務所長によると、1999年に入り国営企業における不完全就業者(注・不完全就業者とは、調査日直前の1週間に実働時間が40時間未満の労働者、あるいは、実働時間が定められた総労働時間を下回っており更に長い時間働く意志のある労働者)が急増した。

労働・傷病兵・社会問題局(DoLISA)内の同事務所によると、不完全就業の解決のための有効な解決策が講じられていない。最も深刻な打撃を受けた部門は2000人の不完全就業者がいる旅行業(同部門の全労働者の10%)、2400人の不完全就業者がいる建設業(同部門の全労働者の5%)などである。カオ・ミン・チャウDoLISA局長によると、不完全就業者問題に対処するため労働者を他の経済地区に配置転換しようとしているが、この計画に必要な資金が足りないため多くの問題に直面している。また、これまで不完全就業状態にある労働者に補助金を与える政策をとったこともあるが、同局長の見解では不適当な政策であった。ハノイ市のDoLISAによれば不完全就業を解決する有効な手段は強力な中央政府の政策であり、労働者が国営企業から解雇された際に支給される各種手当に充てる資金の供給を中央政府に求めている。

解雇手当をさらに魅力的なものにする必要性が増している背景には、ハノイ市の失業率が1998年以来9%を超えており、新しい仕事を探すことが以前よりも困難になっていることがある。一方、国営企業の中に効率的な企業は少なく、労働者の技能の低さと金銭的な誘因の欠如のために余剰人員を抱える企業が増えている。ハノイ・チャム社のように経営多角化で余剰人員の解消を図る企業もあるが、資本が足りないため種々の困難に直面している。

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