上昇が続く労組組織率

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年6月

スウェーデン労働組合総同盟(LO)は、最近数年間続いていた組合員減少に歯止めがかかりそうであると報告した。つまり、LO加盟の労働組合員数は1998年に1.68%(3万5778人)の減少にとどまった。これに対し、ホワイトカラー労組連合(TCO)加盟の組合員は1906人増加し、これでTCO加盟の組合員は105万579人となった(低率の組合費を払って組合員としてとどまっている退職者を除く)。TCO加盟労組で最も多くの組合員を失ったのは防衛産業労働者を組織する FCTF である。防衛部門に対する政府支出削減と軍教育機関の閉鎖の結果、同労組はこの10年間におよそ半数の組合員を失った。

LO加盟組合員はTCOの2倍で209万3726人である。

労組組織率

労組組織率は、1990年代の労働力人口の減少とともに上昇し続けている。1998年第1四半期の労組組織率は84.2%で、ホワイトカラー労働者のそれは80%であった。1990年代に労組組織率は3%以上上昇し、男女別では女性の組織率が80.9%から85.4%に、男性の組織率が81.1%から83.2%に増加した。

女性の割合が最も高いLO傘下の地方自治体労働者労働組合(Kommunal)に所属する組合員は現在62万人で、1998年に1万3000人減となった。その他のLO加盟労組(全部で19)は数百人規模の組合員を失ったが、建物管理労働者労働組合だけは新たに組合員を1237人増やした。以上の現象の背景として、地方政府業務の民営化が指摘できる。民間の清掃業者などが地方政府職員の仕事を引き継継いでいる。

労組が直面している1つの問題は、労組と失業保険双方への加入から組合の管理する失業保険基金のみの加入へとシフトする傾向が、労働者の間でみられることである。このことは、主として大都市や多数の臨時労働者を抱える新しい企業で問題になっている。理論的には、若年労働者がフルタイムの仕事を得るまで労組への完全加入を見合わせていると言えよう。

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