「ニューディール」政策、中高年失業者へ拡大

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年5月

政府は、ニューディール・プログラム「福祉から仕事へ」の対象を中高年失業者へ拡大する方針を固めた。詳細は近くブラウン蔵相が発表する1999年度予算案の中で明らかになる。

18~24歳で6カ月以上失業している若年者を主な対象とする同プログラムは、予算は小規模ながら25歳以上で2年以上失業している長期失業者に対しても、雇用に復帰するための助言と援助を与えるほか、これらを雇用する使用者に6カ月間週75ポンドの補助金を支給している。今回のプログラム拡大では、特に50歳以上をターゲットに特別な支援を提供する。

政府がプログラムの拡大を決めた背景には、大蔵省が中高年労働者の就業状況についてまとめた調査書がある。それによれば、現在、55~65歳の男性の40%が就労しておらず、しかも早期退職を強いられている場合が多い。20年前の1979年は同20%であった。

調査ではまた、50歳代で離職した場合、すぐに次の職が見つからない限り復職しない者がほとんどであることも明らかになった。

政府が特に懸念しているのは年金制度への影響だ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の社会排除分析センター所長、ジョン・ヒルズ氏によれば、このままでは適切な年金制度を維持することは困難となり、個人が十分な年金支給を受けることもますます困難になると論評している。

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