二千六年の海上の労働に関する条約の一部の改正に関する件(外務四一〇)
2024年12月20日
外務省告示 第四百十号
平成十八年二月二十三日にジュネーブで採択された「二千六年の海上の労働に関する条約」の一部は、同条約第十五条の規定に従い、次のように改正され、その改正は、同条の規定により令和六年十二月二十三日に我が国について効力を生ずる。
(令和四年六月二十三日付け国際労働機関事務局長書簡)
令和六年十二月二十日
二千六年の海上の労働に関する条約の二千二十二年の改正
二千六年の海上の労働に関する条約の一部を次のように改正する。
A1.4基準5(c)(ⅵ)を次のように改める。
(ⅵ) 当該船員の募集及び職業紹介のための機関又は船員の雇用契約の下で関係する船舶所有者が船員に対する義務を履行しないことによって当該船員が負うこととなる金銭的損失を補償するため、保険又はこれと同等の適当な措置によって保護する制度を構築すること及び船員が勤務に先立ち又はその過程において当該制度に基づく自己の権利について通知されていることを確保すること。
A2.5.1基準中9を10とし、8の次に次の9を加える。
9 加盟国は、A2.5.2基準2に定める船員が遺棄されたものとみなす場合を含め、船員の迅速な送還を円滑にする。寄港国、旗国及び労働力の供給国は、船舶において従業する船員であって自国の領域内で遺棄された船員と交代するもの又は自国を旗国とする船舶において従業する船員が、この条約に基づく自己の権利を与えられることを確保するために協力する。
A3.1基準17を次のように改める。
17 船員のための適当なレクリエーションに係る設備、備品及びサービス(社会とつながるためのものを含む。)であって、船舶内において居住し、及び労働しなければならない船員の特別の需要に適応したものは、健康及び安全の保護並びに災害の防止に関する第4.3規則及び関連する規範の規定を考慮して、全ての船員のために船舶において提供される。
B3.1.11指針4(j)を次のように改める。
(j) 可能な場合には妥当な金額の利用料金による船舶と陸上との間の電話通信への合理的なアクセス
B3.1.11指針7の次に次の8を加える。
8 船舶所有者は、合理的に実行可能な限り、船舶内の船員に対してインターネットへのアクセス(利用料金が発生する場合には妥当な金額によるもの)を提供すべきである。
A3.2基準2(a)及び(b)を次のように改める。
(a) 食料及び飲料水の供給は、船舶内の船員の数、食料に関連する宗教上の要請及び文化的慣行並びに航行の期間及び性質に考慮を払い、量、栄養価、品質及び種類に関して適当なものとし、並びに勤務期間中、無料で提供されること。
(b) 司厨(ちゅう)部の組織及び設備は、衛生的な条件の下で調理され、及び提供される適切な、多様な、バランスのとれた及び栄養のある食事を船員に対して提供することのできるものとすること。
A3.2基準7(a)を次のように改める。
(a) 食料及び飲料水の供給(量、栄養価、品質及び種類に関連するもの)
A4.1基準4の次に次の5及び6を加える。
5 加盟国は、直ちに医療を必要とする船員が自国の領域内の船舶から迅速に下船すること及び適切な治療の提供のために陸上の医療施設を利用することができるようにすることを確保する。
6 加盟国は、船舶の航行中に船員が死亡した場合であって、自国の領域内において死亡が発生したとき、又は公海で死亡が発生し、当該船舶が次に自国の領海に入るときは、必要に応じて当該船員又はその近親者の希望に従い、船舶所有者による遺体又は遺骨の送還を円滑にする。
B4.1.3指針3の次に次の4及び5を加える。
4 加盟国は、船員が公衆衛生上の理由により下船を妨げられないこと並びに船員が舶用品、燃料、水、食料及び備品を補充することができるようにすることを確保すべきである。
5 船員は、次の場合には、直ちに医療を必要とするものとみなされるべきであるが、これらに限定されない。
(a) 重大な負傷又は疾病
(b) 一時的又は恒久的な障害につながる負傷又は疾病
(c) 他の乗組員への感染の危険をもたらす伝染病
(d) 骨折、重度の出血、歯の欠損若しくは炎症又は重度の火傷を伴う負傷
(e) 船舶の運航の態様、適切な鎮痛剤の利用可能性及び長期間の当該鎮痛剤の服用による健康への影響を考慮した上で、船舶において処置できない重度の痛み
(f) 自殺の危険性
(g) 陸上での治療を勧告する遠隔の医療助言サービス
B4.1.4指針1(k)を次のように改める。
(k) 死亡した船員又は当該船員の近親者の希望に従い、適切、かつ、できる限り速やかに、当該船員の遺体又は遺骨の送還のための措置をとること。
A4.3基準1(b)を次のように改める。
(b) 船舶における職業上の災害、負傷及び疾病を防止するための合理的な予防措置(全ての必要とされる適切な大きさの身体防護具の提供並びに有害な水準の環境上の要因及び化学物質にさらされる危険並びに船舶内の設備及び機関の使用から生ずる可能性のある負傷又は疾病の危険を減少させ、及び防止する措置を通じたものを含む。)
A4.3基準5を次のように改める。
5 加盟国は、次のことを確保する。
(a) 自国を旗国とする船舶において雇用され、従業し、又は労働する船員の全ての死亡について、十分に調査され、及び記録され、並びに世界登録簿において公表するために、国際労働事務局長に対して毎年報告されること。
(b) 職業上の災害及び疾病の報告及び記録に関して国際労働機関が作成する指針を考慮して、職業上の災害、負傷及び疾病が適切に報告されること。
(c) 職業上の災害及び疾病に関し、詳細な統計が作成され、分析され、及び公表され、並びに、適当な場合には、更に一般的な傾向及び特定された危険についての研究が行われること。
(d) 職業上の災害が調査されること。
B4.3.5指針3の次に次の4及び5を加える。
4 A4.3基準5(a)の規定に従って報告される死亡データは、国際労働事務局が定める様式及び分類を使用すべきである。
5 死亡データには、死亡の種類(分類)、船舶の種類及び総トン数、死亡の位置(海上、港、びょう地)並びに船員の性、年齢、職位及び所属する部に関する情報を含めるべきである。
B4.4.2指針中8を9とし、5から7までを一ずつ繰り下げ、4の次に次の5を加える。
5 加盟国は、合理的に実行可能な限り、自国の港及びびょう地にある船舶内の船員に対してインターネットへのアクセス(利用料金が発生する場合には妥当な金額によるもの)を提供すべきである。
付録A二-Iの(g)を次のように改める。
(g) 船舶所有者の氏名又は名称(登録所有者が船舶所有者と異なる場合には当該登録所有者の氏名又は名称)
付録A四-Iの(g)を次のように改める。
(g) 船舶所有者の氏名又は名称(登録所有者が船舶所有者と異なる場合には当該登録所有者の氏名又は名称)