障害福祉分野に係る事業分野別指針の一部を改正する件(厚生労働二九七)
2021年7月30日

厚生労働省告示 第二百九十七号

 産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律(令和三年法律第七十号)の施行に伴い、並びに中小企業等経営強化法(平成十一年法律第十八号)第十六条第三項の規定に基づき、及び同法を実施するため、障害福祉分野に係る事業分野別指針(平成二十八年厚生労働省告示第二百八十三号)の一部を次の表のように改正し、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の施行の日(令和三年八月二日)から適用することとしたので、同条第五項の規定に基づき公表する。

  令和三年七月三十日

厚生労働大臣 田村 憲久

(傍線部分は改正部分)

改正後

改正前

第1 基本認識

第1 基本認識

  (略)

  (略)

 1 市場規模の動向

 1 市場規模の動向

 令和3年版障害者白書によると、我が国の障害者の概数は、身体障害者436.0万人、知的障害者109.4万人、精神障害者419.3万人となっている。複数の障害を併せ持つ者もいるため、単純な合計にはならないものの、国民のおよそ7.6%が何らかの障害を有している。

 令和2年版障害者白書によると、我が国の障害者の概数は、身体障害者436.0万人、知的障害者109.4万人、精神障害者419.3万人となっている。複数の障害を併せ持つ者もいるため、単純な合計にはならないものの、国民のおよそ7.6%が何らかの障害を有している。

 障害福祉サービスの利用者数は、国民健康保険団体連合会へ支払を委託する自立支援給付の支払に関するデータによれば、平成20年2月の時点で45.0万人であったが、令和3年2月には91.5万人となっており、この13年間で約2.0倍に増加している。

 障害福祉サービスの利用者数は、国民健康保険団体連合会へ支払を委託する自立支援給付の支払に関するデータによれば、平成20年2月の時点で45.0万人であったが、令和2年2月には89.0万人となっており、この12年間で約2.0倍に増加している。

 障害福祉等関係予算も年々増加しており、平成18年度には約4,900億円であったが、令和3年度においては約1.7兆円となり、この15年間で3.0倍以上に増加している。

 障害福祉等関係予算も年々増加しており、平成18年度には約4,900億円であったが、令和2年度においては約1.6兆円となり、この14年間で3.0倍以上に増加している。

 また、障害福祉職員数は平成18年度の約50万人から平成29年度には約100万人に増加している。

 また、障害福祉職員数は平成18年度の約50万人から平成29年度には約100万人に増加している。

 2 産業構造・業態の特徴

 2 産業構造・業態の特徴

 障害福祉サービス等の事業所の数は、令和元年「社会福祉施設等調査報告」(厚生労働省)によると、居宅介護が23,098事業所、重度訪問介護が20,789事業所、生活介護が8,268事業所、就労移行支援が3,399事業所、就労継続支援A型が3,860事業所、就労継続支援B型が12,497事業所、共同生活援助が8,643事業所である。また、障害児通所支援事業所数は、児童発達支援が7,653事業所、放課後等デイサービスが13,980事業所である。事業所種別で利用実人員の最も多い割合をみると、居宅介護事業所は「1~4人」が35.2%、重度訪問介護事業所は「1~4人」が81.3%、生活介護事業所は「10~19人」が27.7%、就労移行支援事業所は「1~4人」が29.9%、就労継続支援A型事業所は「10~19人」が36.7%、就労継続支援B型事業所は「10~19人」が33.5%、児童発達支援事業所は「1~4人」が23.5%、放課後等デイサービス事業所は「20~29人」が30.7%となっており、概して事業所の規模が小さいことに特徴がある。

 障害福祉サービス等の事業所の数は、平成30年「社会福祉施設等調査報告」(厚生労働省)によると、居宅介護が22,936事業所、重度訪問介護が20,793事業所、生活介護が7,630事業所、就労移行支援が3,503事業所、就労継続支援A型が3,839事業所、就労継続支援B型が11,835事業所、共同生活援助が8,087事業所である。また、障害児通所支援事業所数は、児童発達支援が6,756事業所、放課後等デイサービスが12,734事業所である。事業所種別で利用実人員の最も多い割合をみると、居宅介護事業所は「1~4人」が35.8%、重度訪問介護事業所は「1~4人」が82.5%、生活介護事業所は「10~19人」が27.9%、就労移行支援事業所は「5~9人」が30.4%、就労継続支援A型事業所は「10~19人」が35.2%、就労継続支援B型事業所は「10~19人」が33.7%、児童発達支援事業所は「1~4人」が24.0%、放課後等デイサービス事業所は「10~19人」が31.4%となっており、概して事業所の規模が小さいことに特徴がある。

 障害者支援施設及び障害児入所施設の合計定員は、令和元年「社会福祉施設等調査報告」(厚生労働省)によると、障害者支援施設が138,941人、障害児入所施設(福祉型)が9,280人であり、1施設当たりの定員は、平均で、障害者支援施設が54.3人、障害児入所施設(福祉型)が36.4人である。

 障害者支援施設及び障害児入所施設の合計定員は、平成30年「社会福祉施設等調査報告」(厚生労働省)によると、障害者支援施設が138,845人、障害児入所施設(福祉型)が9,390人であり、1施設当たりの定員は、平均で、障害者支援施設が54.6人、障害児入所施設(福祉型)が36.4人である。

 施設種別で利用定員をみると、障害者支援施設は50人以下の割合が63.7%、障害児入所施設(福祉型)は50人以下の割合が84.3%となっており、概して事業所の規模が小さい。

 施設種別で利用定員をみると、障害者支援施設は50人以下の割合が63.6%、障害児入所施設(福祉型)は50人以下の割合が83.7%となっており、概して事業所の規模が小さい。

 3 経営の特徴

 3 経営の特徴

  一 (略)

  一 (略)

  二 労働市場の状況

  二 労働市場の状況

 障害福祉を含んだ介護分野の有効求人倍率は令和3年4月時点で3.31倍となっており、全産業の0.95倍に比べ高い水準にある。

 障害福祉を含んだ介護分野の有効求人倍率は令和2年4月時点で3.88倍となっており、全産業の1.13倍に比べ高い水準にある。

 障害福祉職員の平均賃金の水準は、全産業の平均賃金と比較して低い傾向にあり、また勤続年数も短い傾向にある。

 障害福祉職員の平均賃金の水準は、全産業の平均賃金と比較して低い傾向にあり、また勤続年数も短い傾向にある。

第2 経営力向上の実施方法に関する事項

第2 経営力向上の実施方法に関する事項

 1 支援対象

 1 支援対象

 障害福祉分野における経営力向上のための支援の対象は、障害福祉事業において、事業活動に有用な知識又は技能を有する人材の育成、組織の活力の向上による人材の有効活用、財務内容の分析の結果の活用、商品又は役務の需要の動向に関する情報の活用、経営能率の向上のためのデジタル技術の活用、経営資源の組合せその他の経営資源を高度に利用する方法を導入して事業活動を行う取組とする。ただし、中小企業等経営強化法(平成11年法律第18号)第2条第6項に規定する特定事業者等(以下単に「特定事業者等」という。)が事業承継等(同条第10項第9号に掲げるものを除く。)により、他の事業者から取得した又は提供された経営資源を高度に利用する方法を導入して事業活動を行う場合にあっては、事業の継続が困難である他の事業者の事業を承継するもののうち、事業の経営の承継を伴う取組を支援対象とする。

 障害福祉分野における経営力向上のための支援の対象は、障害福祉事業において、事業活動に有用な知識又は技能を有する人材の育成、組織の活力の向上による人材の有効活用、財務内容の分析の結果の活用、商品又は役務の需要の動向に関する情報の活用、経営能率の向上のためのデジタル技術の活用、経営資源の組合せその他の経営資源を高度に利用する方法を導入して事業活動を行う取組とする。ただし、中小企業者等が事業承継等(中小企業等経営強化法(平成11年法律第18号)第2条第10項第9号に掲げるものを除く。)により、他の事業者から取得した又は提供された経営資源を高度に利用する方法を導入して事業活動を行う場合にあっては、事業の継続が困難である他の事業者の事業を承継するもののうち、事業の経営の承継を伴う取組を支援対象とする。

 2 経営力向上に係る指標

 2 経営力向上に係る指標

 障害福祉事業においては、対人サービスとして一定以上の質が求められることから、一概に中小企業等の経営強化に関する基本方針(令和3年厚生労働省・経済産業省告示第1号。以下「基本方針」という。)第4の2の二のイ及びロの(2)に掲げる労働生産性の向上という指標を用いて経営力向上の度合を測ることはできない。

 障害福祉事業においては、対人サービスとして一定以上の質が求められることから、一概に中小企業等の経営強化に関する基本方針(平成17年総務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省告示第2号。以下「基本方針」という。)第4の2の二のイ及びロの(2)に掲げる労働生産性の向上という指標を用いて経営力向上の度合を測ることはできない。

 このため、障害福祉分野における経営力向上の度合を測るための指標としては、障害福祉職員に関する、次の各号に掲げる指標、顧客満足度その他の各事業者において設定する客観的に評価可能な指標及びそれらの目標伸び率(伸び率が不要な指標は除く。)を用いることが適当と考えられる。

 このため、障害福祉分野における経営力向上の度合を測るための指標としては、障害福祉職員の勤続年数、離職率、入職率、顧客満足度その他の各事業者において設定する客観的に評価可能な指標を用いることが適当と考えられる。

   平均勤続年数

  (新設)

 平均勤続年数とは障害福祉職員がその企業に雇い入れられてから経営力向上計画(中小企業等経営強化法第17条第1項に規定する経営力向上計画をいう。以下同じ。)に係る認定の申請を行った日までに勤続した年数の平均をいう。

 

   入職率

  (新設)

 入職率とは経営力向上計画に係る認定の申請を行った日前の直近の9月30日(以下「基準日」という。)における常用の障害福祉職員数(期間を定めずに雇われている人数及び1か月以上の期間を定めて雇われている人数)に対する基準日から1年を経過する日までの入職者数の割合をいう。

 

   離職率

  (新設)

 離職率とは基準日における常用の障害福祉職員数(期間を定めずに雇われている人数及び1か月以上の期間を定めて雇われている人数)に対する基準日から1年を経過する日までの離職者数の割合をいう。

 

第3 経営力向上に関する事項

第3 経営力向上に関する事項

 1 (略)

 1 (略)

 2 経営力向上計画の認定

 2 経営力向上計画の認定

 経営力向上計画について認定を受けようとする事業者にあっては、その経営規模に応じて取り組むことのできる事項に幅があると考えられることから、事業者は、次の各号に掲げる区分に応じてそれ

 経営力向上計画(中小企業等経営強化法第17条第1項に規定する経営力向上計画をいう。)について認定を受けようとする事業者にあっては、その経営規模に応じて取り組むことのできる事項に幅があ

ぞれ当該各号に定める数以上の第3の1の各号に掲げる事項に取り組むこととする。

ると考えられることから、事業者は、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める数以上の第3の1の各号に掲げる事項に取り組むこととする。

   小規模企業(特定事業者等のうち、常時使用する従業員の数がおおむね5人以下であるものをいう。以下同じ。) 1項目

    小規模企業(中小企業等経営強化法第2条第2項に規定する中小企業者等(以下単に「中小企業者等」という。)のうち、常時使用する従業員の数がおおむね5人以下であるものをいう。以下同じ。) 1項目

   中規模企業(特定事業者等のうち、資本金等の総額が5,000万円以下であって、常時使用する従業員の数が5人を超え300人以下であるものをいう。以下同じ。) 2項目

    中規模企業(中小企業者等のうち、資本金等の総額が5,000万円以下であって、常時使用する従業員の数が5人を超え100人以下であるものをいう。以下同じ。) 2項目

   中堅企業(特定事業者等のうち、小規模企業及び中規模企業に該当しないものをいう。) 3項目

    中堅企業(中小企業者等のうち、小規模企業及び中規模企業に該当しないものをいう。) 3項目

 3 業界団体に係る事項

 3 業界団体に係る事項

 障害福祉分野における業界団体においては、特定事業者等が経営力向上の取組を効果的に実施できるよう、その模範となる取組(新たな手法や成功事例等)に係る情報の収集等のほか、インフォーマルサービスも含めた地域資源の開発及び活性化を促すための取組を行うことが望まれる。

 障害福祉分野における業界団体においては、中小企業者等が経営力向上の取組を効果的に実施できるよう、その模範となる取組(新たな手法や成功事例等)に係る情報の収集等のほか、インフォーマルサービスも含めた地域資源の開発及び活性化を促すための取組を行うことが望まれる。

 4 経営力向上に取り組むに当たって配慮すべき事項

 4 経営力向上に取り組むに当たって配慮すべき事項

 特定事業者等が経営力向上に取り組むに当たっては、対人サービスとしての一定以上の質を確保するとともに、人員削減を目的とした取組をしないなど雇用の安定に配慮することが必要である。また、組織再編行為が利用者、従業員等に与える影響が大きいことに鑑み、事業承継等を行う場合にあっては、利用者に必要なサービスの継続的な提供、従業員の雇用の安定等に特に配慮するものとする。

 中小企業者等が経営力向上に取り組むに当たっては、対人サービスとしての一定以上の質を確保するとともに、人員削減を目的とした取組をしないなど雇用の安定に配慮することが必要である。また、組織再編行為が利用者、従業員等に与える影響が大きいことに鑑み、事業承継等を行う場合にあっては、利用者に必要なサービスの継続的な提供、従業員の雇用の安定等に特に配慮するものとする。

第4 (略)

第4 (略)